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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年11月24日 No.3568 今後の医療保険制度改革 -社会保障委員会

日原氏

経団連は10月31日、社会保障委員会(小堀秀毅委員長、根岸秋男委員長)をオンラインで開催した。厚生労働省の日原知己大臣官房審議官(医療保険担当)から、今後の医療保険制度改革に関して説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 制度改革の背景

全世代型社会保障の構築については、2022年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)において、現役世代の負担上昇を抑制しつつ、負担能力に応じた負担のあり方等について総合的な検討を進めるとの方針が示されている。さらに、22年9月からは、内閣総理大臣の指示を踏まえ、政府の全世代型社会保障構築会議において、医療・介護制度の改革等、三つのテーマを中心に議論が進められ、各テーマの論点が示された。

医療保険関係では次の3点が提示されている。これらは、社会保障審議会医療保険部会において、12月の取りまとめに向け議論されている。

■ 次期医療制度改革の論点と今後の方向性

1点目は、出産育児一時金(出産の際に支給。現在は42万円)の大幅な増額と医療保険全体のなかで支え合うことについてである。出産育児一時金について、08年の後期高齢者医療制度の創設前は、全世代でその費用を負担していたが、創設以降は75歳未満の者のみで費用を負担している。

出産費用が増加するなか、一時金の引き上げ額のほか、後期高齢者を含めた医療保険制度全体で支え合うこと、出産費用やサービスの見える化が論点となっている。

2点目は、負担能力に応じて、すべての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化するための高齢者の保険料負担のあり方や、被用者保険者間の格差是正の方策についてである。

まず、後期高齢者医療制度の導入以降、現役世代の負担する1人当たり支援金は、後期高齢者の1人当たり保険料の伸びを上回って増加している。現役世代の負担の上昇を抑制するために、(1)後期高齢者の保険料で賄う割合の見直し(2)高齢者世代内においても、負担能力に応じた負担を強化する観点から、後期高齢者の保険料額の上限の見直し――等が論点となっている。

また、被用者保険の保険者間でみると、全国健康保険協会(協会けんぽ)の平均保険料率(10.0%)を超える健康保険組合(健保組合)が2割を超え、平均保険料率も上昇している。一方、保険料率が非常に低い健保組合もある。個々の保険者のみでは解決の困難な課題を中心に、こうした格差を是正する観点から、(1)被用者保険者支援のあり方の見直し(2)前期高齢者の給付費の調整において、現在の「加入者数に応じた調整」に加え、負担能力を反映した「報酬水準に応じた調整」の導入――が論点となっている。

3点目は、医療費の伸びの適正化に資する、より実効的な取り組みについてである。

24年度からの第4期医療費適正化計画に向けて、重複投薬や多剤投与の適正化など、現行の目標の推進策のあり方や、さらに新たに取り組むべき目標、取り組みの実効性確保のための体制のあり方などが検討されている。

【経済政策本部】

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