1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年12月8日 No.3570
  5. 折り返し点を迎えたSDGsとこれからの変革へ向けて

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月8日 No.3570 折り返し点を迎えたSDGsとこれからの変革へ向けて -企業行動・SDGs委員会

経団連は11月17日、企業行動・SDGs委員会(中山讓治委員長、吉田憲一郎委員長、西澤敬二委員長)を東京・大手町の経団連会館で開催した。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授が、「折り返し点を迎えたSDGsとこれからの変革へ向けて」をテーマに、2023年度版「持続可能な開発に関するグローバル・レポート(GSDR)2023」の議論も踏まえて講演した。概要は次のとおり。

■ SDGsの進捗を加速するための「変革」

2023年9月に国連が公表を予定しているGSDR2023では、SDGsの進捗を加速させるため、どのように「変革」を起こしていけるのか、それをどのように広げていけるのか、が大きなテーマの一つとなっている。「変革」は、三つの時期( (1)萌芽期 (2)加速期 (3)安定期)に分けることができる。萌芽期では、さまざまな動きが起き、出ては消えを繰り返す。やがて転換点が訪れ、そのなかで伸びるものは、加速して一気に広がっていくという加速期が来る。最終的にはそれが世の中に普及し、安定期に入る。

大事なのは、加速期において、いかに活動を広げて変革を加速するかである。GSDR2023では、具体的な事例に基づいて、梃子となる道具を提示していく。例えば、低炭素化や人権デュー・ディリジェンスなどの最近の事例において、政策による後押しやSNSでの発信、テクノロジーの活用、契約条件等によるサプライチェーンへの影響、サステナビリティに関する基準づくり等の方策を通じて、変革を起こすことが可能なことを示していきたい。一方、状況や環境によって適した方策が異なるため、カスタマイズやキャパシティビルディングも含めて考えていく必要がある。

■ SDGsをめぐる日本政府の主な動きと日本の課題

23年に国連で開催されるSDGサミットに向けて、日本政府は、SDGs実施指針の2度目の改定を予定している。今後、SDGs推進円卓会議のメンバーが中心となってパートナーシップ会議を開催し、実施指針の改定に向けた意見を国民から幅広く聴き、そこで出された意見を年末に提言として取りまとめ、政府に提出する予定である。

パートナーシップ会議で指摘されている課題の一つは、SDGsを推進するための仕組みが弱いことである。国連の「2030アジェンダ」では、各国が地球規模レベルでの目標を踏まえつつ、ターゲットを設定するよう求めているものの、日本ではいまだ設定できていない。このため、SDGs推進に向けた基本法の制定が必要との意見や、G7に向けて横断的な政策を調整する仕組みの構築が必要との意見が出されており、提言に盛り込む予定である。

■ 成長戦略としてのSDGs

SDGsの本質は成長戦略であり、持続的成長の将来像を描いている。また、サステナビリティは、今後、国際的な競争力を決定付けるものになっていく。GSDR2023では、このようなメッセージを先進国だけでなく、途上国に対しても投げかける。場合によっては、途上国が先進国以上の成長を実現することも考え得る。日本企業にも、SDGsへの取り組みを一層強化してほしい。

【SDGs本部】

「2022年12月8日 No.3570」一覧はこちら