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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月2日 No.3581 英国サイバーセキュリティ大使との懇談会を開催 -日英両国の官民連携のあり方等について意見交換/サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ

ウィルコックス大使

防衛3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の改定を受け、サイバーを含む安全保障分野での同盟国・同志国等との連携の強化が求められている。こうしたなか、英国国際通商省のジュリエット・ウィルコックス・サイバーセキュリティ大使が来日した。この機会をとらえ、経団連のサイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ(和田昭弘主査)は2月7日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。ウィルコックス大使から英国のサイバー政策等について説明を聴くとともに、「経団連サイバーセキュリティ経営宣言 2.0」等の取り組みを紹介しつつ、日英の官民連携のあり方等について意見交換した。概要は次のとおり。

■ ウィルコックス大使説明

英国は、六つの柱に沿ってサイバーセキュリティの強化を図っている。すなわち、(1)政府間関係の構築を通じた信頼の確立(2)スタートアップ支援を含む中小企業振興(3)すべてのセクターの中核にサイバーセキュリティを据えること(4)国防省との連携(5)全省庁との連携のもと、国際電気通信連合と標準化交渉を進めること(6)ダイバーシティのあるアプローチの採用――である。

また、サイバーエコシステム(サイバー空間における相互関係)全体を俯瞰しつつ、官民連携の強化や将来的な重要技術の確保等の観点から「国家サイバー戦略2022」を公表した。あわせて、早期警戒措置を講じつつ、悪意あるドメインへの接続を防ぎ、マルウエア等の攻撃を軽減するなど、能動的サイバー防御にも取り組んでいる。実効的なサイバー戦略を展開するうえで重要なカギを握るのは、官民連携である。

他方、英国ではランサムウエアが大きな脅威であり、データのロックダウンから公表に至るまで企業にとって重大な問題を引き起こしている。また、サプライチェーンのセキュリティやプロフェッショナル人材が不足していることも大きな課題である。デジタルエコノミーの底流にはサイバーセキュリティがあり、信頼や強靱性、協働を踏まえシステムを構築していく必要がある。

■ 意見交換

経団連側から、「能動的サイバー防御における官民連携という観点から、英国産業界と英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)(注)はどのように協力しているのか」と質問したところ、ウィルコックス大使は、「例えば、保証できるサプライヤーをウェブ上に公表することで、当該企業が技術面で“お墨付き”を得るなど、さまざまなかたちで官民連携を推進している」と回答した。

また、「英国では、国家安全保障と保護主義をどのように線引きしているのか」との質問に対し、「イノベーションのスピードは極めて速く、どの国も自国製品のみで自立するのは困難である。英国では外資系企業も含めオープンに協働しているが、電気通信等の分野ではリスクがあることも事実である。特定の企業と組まないということではなく、特定の分野では組めないという考え方で臨んでいる」と応じた。

◇◇◇

経団連は、今回の議論も踏まえ、サイバーセキュリティ領域における同盟国・同志国等との連携強化に取り組んでいく。

(注)The National Cyber Security Centre、英国GCHQ(政府通信本部)傘下で、サイバーセキュリティ環境を管轄する国家機関。17年に正式に発足。知識の共有や全システムの脆弱性への対応など、国家のサイバーセキュリティ問題に対処している

【産業技術本部】

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