1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年3月16日 No.3583
  5. 次期観光立国推進基本計画の策定状況

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月16日 No.3583 次期観光立国推進基本計画の策定状況 -観光委員会

経団連の観光委員会(菰田正信委員長、新浪剛史委員長、武内紀子委員長)は2月15日、2022年度末の閣議決定を目指して観光庁が策定を進める「観光立国推進基本計画」の次期計画(素案)について、観光庁の和田浩一長官と田島聖一観光戦略課長から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

観光立国推進基本計画は、観光立国推進基本法に基づく法定計画である。前回の計画は20年度末で期限を迎えたが、コロナ禍で観光需要の見通しが不透明といった理由から、次期計画についての議論を中断していた。22年10月の水際規制の大幅緩和と全国旅行支援の開始による急速な観光需要の回復を受け、交通政策審議会観光分科会での議論を再開した。観光庁は、経団連の提言「持続可能でレジリエントな観光への革新~改定『観光立国推進基本計画』に対する意見」(22年1月18日公表)も参考に、同分科会での議論を踏まえて、2月9日に素案を公表した。

次期計画は、観光需要が新型コロナウイルス前に戻ると見込まれる25年までの3カ年を想定している。素案では、観光政策の方向性として、新型コロナ前の課題や旅行者のニーズの変化を踏まえた「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の三つのキーワードに留意し、「持続可能な観光地域づくり戦略」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」の三つの戦略を掲げている。なかでも、計画全体にかかる「持続可能な観光地域づくり戦略」では、地球環境に配慮するだけでなく、観光によって地域の社会や経済の持続可能性を高めることが大切であるとしている。具体的には、地域に根付いた観光資源を活用しながら地域の自然や文化を保全したり、住民に配慮した観光振興を行ったりすることで、観光の担い手が誇りや地域への愛着を持ち、さらに観光地の魅力も高まるという好循環を創出することが重要と指摘している。こうした好循環を各地の観光地域づくり法人(DMO)などの力も借りて全国へ展開することを目指す。

計画における目標については、「量」ではなく、「質」の向上を重視した設計にするとともに、新型コロナの収束見通しが不透明であることも踏まえ、人数に依存しない指標を中心に設定している。新型コロナ前の課題であった消費額の増加や地方への誘客を踏まえ、25年の目標として、訪日外国人旅行消費額単価20万円(19年比25%増)、訪日外国人旅行者1人当たり地方部宿泊数1.5泊(19年比10%増)、日本人の地方部延べ宿泊者数3.2億人泊(19年比5%増)、国内旅行消費額22兆円(19年並み)などを掲げる。

具体的な施策としては、「持続可能な観光地域づくり戦略」のなかに、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化をはじめ、観光デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、観光人材の育成・確保、DMOを司令塔とした観光地域づくりの推進、自然・文化等の保全に配慮したコンテンツ造成、入域料徴収等による受入環境の整備などを挙げている。また、「インバウンド回復戦略」や「国内交流拡大戦略」としては、インバウンドの受入環境の整備、戦略的な訪日プロモーションの実施、地方誘客に効果の高いコンテンツの整備、ワーケーション等の新たな交流市場の開拓、国内旅行需要の平準化の促進などを掲げている。

◇◇◇

経団連は、観光立国の実現を目指し、次期観光立国推進基本計画に基づく活動に引き続き取り組んでいく。

【産業政策本部】

「2023年3月16日 No.3583」一覧はこちら