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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年6月1日 No.3592 デジタルスキル標準に関する説明会を開催 -情報処理推進機構から聴く

富田氏

高橋氏

経団連は4月21日、デジタルスキル標準に関する説明会をオンラインで開催した。情報処理推進機構(IPA)の富田達夫顧問(前理事長)と高橋伸子社会基盤センター長から、「デジタル人材の育成に向けて~デジタルスキル標準の概要」について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ デジタル人材を取り巻く環境

IMD世界デジタル競争力ランキング2022によると、日本のデジタル競争力は63カ国中29位であり、特に人材とデジタル・技術スキルのランクが低い。IPA「DX白書2023」によると、デジタル技術を活用した経営改革の重要性が高まるなか、日本企業もデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手しているものの、全社的な取り組みまで進んでいない。総務省「令和4年版情報通信白書」によると、DXを進めるうえでの課題として、7割弱の企業が「人材不足」をあげており、諸外国の企業と比べても多い。その理由として「採用・育成の体制が整っていない」との回答が4割程度を占める。これらの状況を踏まえると、企業のDXとデジタル人材育成を車の両輪で推進することが重要である。

■ デジタル人材育成に向けた取り組み

政府は、デジタル田園都市国家構想において、すべての社会人がデジタルリテラシーを身につけ、デジタル技術を利活用できるようにするとともに、専門的なデジタル知識・能力を有するデジタル推進人材を22~26年度末までの5年間で230万人育成する目標を掲げている。IPAは、経済産業省と共に、(1)DXのレベルに応じた企業の認定(「DX認定」)や優良企業の選定(「DX銘柄」「DX Selection」)(2)学び直し推進の観点から、教育コンテンツの集約・提示や、ケーススタディー教育プログラム、現場研修プログラムを提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の構築(3)情報処理技術者試験やITパスポート試験といったスキル検定の実施(4)「デジタルスキル標準」の策定――の四つに取り組んでいる。

■ デジタルスキル標準の概要

デジタルスキル標準は、「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」から成る。

DXリテラシー標準は、ビジネスパーソンがDXに関するリテラシーを身につけることで、DXを自分事としてとらえ、変革に向けて行動できるようになることをねらいとしている。あらゆるビジネスパーソンに求められる知識・スキルやマインド・スタンスを定義している。

DX推進スキル標準は、DXを推進する人材の役割や習得すべき知識・スキルを示すことで、企業が人材確保・育成に取り組みやすくすることをねらいとしている。具体的には、企業のDX推進に必要な人材を5類型(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウエアエンジニア、サイバーセキュリティー)に区分するとともに、人材類型ごとにロールおよび必要なスキルを定義している。

デジタルスキル標準は、多様な企業で活用できるよう、汎用性を意識して策定している。企業においては、自社の戦略に合わせてデジタルスキル標準をアレンジしながら、人材戦略立案や人材確保・育成に活用してほしい。

【SDGs本部】

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