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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月26日 No.3610 経済安全保障推進法基幹インフラ分野の検討状況 -制度の運用開始に向けて説明会を開催

経団連は9月27日、経済安全保障推進法の基幹インフラ分野(特定社会基盤役務の安定的な提供の確保)の制度運用開始に向けた検討状況に関する説明会をオンラインで開催した。

同制度では、安定的にサービスを提供できない場合に国家・国民の安全が損なわれ得る基幹インフラ事業者(特定社会基盤事業者)に対して、国が指定する重要設備(特定重要設備やその構成設備)の導入や維持・管理(重要維持管理等)の委託にあたり事前の届け出を求めている。2022年5月の法律成立後、23年4月に制度の基本的な方向等を定めた「基本指針」が閣議決定され、8月には対象事業(特定社会基盤事業)を定めた政令と、特定社会基盤事業者の指定基準や特定重要設備を定めた一部の省令が公布された。まだ省令が定められていない部分については、24年春の運用開始に向けて、10月中旬まで各省の省令案がパブリックコメントに付されている。

そこで、各省の省令案に共通する内容について、内閣府から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 届け出事項

特定社会基盤事業者が特定重要設備の導入にあたり届け出る事項は省令で定める。具体的には、特定重要設備の概要、導入の内容・時期、供給者に関する事項(議決権の5%以上を保有する者や役員の氏名・生年月日・国籍等)、同設備の構成設備に関する事項、導入に関するリスク管理措置の内容等である。このうち、機微な情報については、特定重要設備の供給者等が特定社会基盤事業者を経由することなく直接、国に提出することができる。

リスク管理措置については、特定社会基盤事業者が特定重要設備に関するリスクを自ら評価・管理するための措置として十数項目を例示しているが、これらの措置はリスクの程度に応じて講じられるべきものであり、すべてを講ずることが求められるものではない。

届け出内容を変更する際は、事前に変更の届け出が必要となるもの、事後に変更の報告が必要となるもの、事前・事後ともに届け出が不要となるものがある。どの事項がどの類型にあたるかは省令で定められる。

重要維持管理等の委託にあたっては、上記で示した特定重要設備の導入の際に届け出る内容に準じた届け出が必要になる。

■ 緊急やむを得ない場合の特定重要設備の導入等

特定社会基盤事業者は特定重要設備の導入等にあたり事前に届け出ることが求められるが、緊急やむを得ない場合に限って、緊急導入等届出書を事後に提出することができる。これが認められるのは、(1)緊急性(2)非故意性(=故意に事前届け出を免れることを目的としていないこと)(3)必要性(4)非代替性――のすべてを満たす場合に限定される。

■ 今後のスケジュール

実施中のパブリックコメントの結果も踏まえ、23年の秋ごろには省令の公布、法の施行、特定社会基盤事業者の指定・告示を行う予定である。また、制度に関する技術的な解説(Q&A)の作成・公表も可能なものから随時行っていき、24年春に制度の運用を開始したい。

【国際経済本部】

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