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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年1月11日 No.3620 容器包装リサイクルに関する懇談会を開催 -環境省からプラスチック汚染に関する条約交渉の状況について聴く

経団連は12月14日、東京・大手町の経団連会館で容器包装リサイクルに関する懇談会を開催した。環境省水・大気環境局海洋環境課の大井通博課長から、プラスチック汚染に関する条約交渉の状況について説明を聴いた。概要は次のとおり。

水域・陸域(環境中)へのプラスチック流出が続いている。経済協力開発機構(OECD)は、2019年時点での環境中へのプラスチック流出量を約2200万トンと推計している。流出したプラスチックは、分解されずに長期間、環境中に残存するため、生態系や健康への悪影響が懸念されている。

プラスチック汚染対策を進めるべく、19年のG20大阪サミットでは、わが国が主導して「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」(注)が採択された。これを踏まえ、22年の国連環境総会(UNEA)では、プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の設置が決議されるとともに、24年末までの交渉完了を目指すこととなった。

こうしたなか、プラスチック汚染に関する条約策定に向けた第3回会合(INC3)が、23年11月13~19日、ケニア・ナイロビで開催された。

同年9月に公表された条約の素案を基に、(1)条約の目的および年限目標(2)1次プラスチックポリマーの生産制限(3)懸念のある化学物質・ポリマー・問題のあるプラスチック製品の規制(4)国別行動計画の内容(5)新たな基金設置の有無を含む支援基金等――といった論点について精力的な議論が行われた。各国の思惑があるなか、意見の隔たりが非常に大きかったものの、条約の素案に対して参加各国の提案内容をすべて盛り込んだ改定版の条約案が作成された。

同会合で今後の交渉の土台となる改定条文案が作成されたことを踏まえ、24年中に2度予定されている会合でさらに議論が進められる。日本政府としては、(1)条約目的に40年までの追加的汚染をゼロにする高い目標を盛り込むこと(2)ライフサイクル全体にわたってプラスチック資源循環を確保する義務を規定すること(3)1次プラスチック生産制限については、世界一律の規制ではなく、各国事情を踏まえた対応とすること(4)既存の他条約との重複に留意しつつ、科学的根拠に基づく対応を行うこと(5)真に必要な国に対する支援の提供等――を引き続き主張しつつ、24年中の条約案の合意に向け国際交渉に貢献していく。

◇◇◇

当日はあわせて、3R推進団体連絡会(容器包装の3R推進にかかる8団体〈ガラスびん、PETボトル、紙製容器、プラスチック容器、スチール缶、アルミ缶、飲料用紙容器、段ボール〉で構成)が「容器包装3R推進のための自主行動計画2025 2022年度フォローアップ報告」について説明。06年度からの資源節減効果が累計約1221万トンに達するなど、着実に成果を上げており、目標の達成に向けて引き続き取り組んでいくとの言及があった。

(注)G20大阪サミットで採択された海洋プラスチック汚染に関するグローバルビジョン。50年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す

【環境エネルギー本部】

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