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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月1日 No.3623 「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表・手交

鈴木氏(右)と田中部会長

経団連の労働法規委員会労働法企画部会の田中憲一部会長は1月17日、厚生労働省の鈴木英二郎労働基準局長を訪問し、同16日に公表した「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を手交した。同提言は、労働者の価値観や働き方の多様化、人口減少による人材獲得競争の激化等が進むなか、今後求められる労働法制のあり方をとりまとめたもの。

田中部会長は、提言のポイントを説明したうえで、「働き方改革関連法の5年後見直しに向けて、引き続き密に連携していきたい」と求めた。鈴木氏は、同提言は厚労省が2023年10月20日に取りまとめた「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書における問題意識とも重なる部分があるとしたうえで、「これから労働基準関係法制研究会において労働基準法制のあり方について検討をはじめる。引き続き経団連と意見交換をしていきたい」と応えた。

提言の概要は次のとおり。

■ 提言の背景

労働者の価値観や働き方の多様化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等による事業内容の変化等が進むなか、今後も日本が高い産業競争力を維持し続けるためには、労使双方にとってより良い働き方を探ることが重要となる。しかし、現行の労働基準法は画一的な規制であり、また、度重なる法改正を経て複雑化しており、労使が正しく理解し実態にあわせて活用することが難しくなっている。このため、労使が話し合いを重ねて望ましい働き方を決めていく「労使自治」を軸とした労働法制への見直しが求められている。

■ 求められる労働法制の姿

「労使自治」を軸とした労働法制へと見直す際には、(1)労働者の健康確保は最優先(2)労使自治を重視し、法制度はシンプルに(3)時代にあった制度見直しを――の三つの視点が求められる。そのうえで政府は、(2)の観点を踏まえつつ、三つの制度見直しを図るべきである。

第一に、過半数労働組合がある企業については、労使による十分な協議や健康確保措置を条件に、例えば裁量労働制の対象業務は当事者である労使が議論し選択できる仕組みにするなど、労働時間規制のデロゲーション(注)の範囲を拡大すべきである。

第二に、過半数労働組合がない企業における労使の意見集約や協議を促す一助とするため、新たな集団的労使交渉の場として「労使協創協議制」を創設すべきである。同協議制の導入条件については、有期雇用労働者を含めたすべての労働者から民主的手続きにより複数人選出することなどが考えられる。具体的な内容は、労働者代表者と会社代表者で個々の労働者を規律する契約の締結権限を付与することが挙げられるほか、より厳格な条件のもとで、就業規則の合理性推定や労働時間制度のデロゲーションを認めることも検討の対象になる。なお同協議制の導入は義務ではなく、各社による選択制とすべきである。また、過半数労働組合がある企業での導入は想定していない。

第三に、就業規則作成時における意見聴取等の単位を見直すべきである。テレワークが普及し、労働者が事業場に常時いるわけではない場合もあるなかで、過半数労働組合の有無にかかわらず、就業規則の作成や労使協定の締結、労使委員会の決議について、企業単位での手続きを可能にすべきである。

■ 今後の労働者と企業に向けて

労使自治を進めるにあたっては、法制面での対応のみならず、労使双方の意識についても考える必要がある。労働者には、自らが選択した働き方の実現に際して、自主的な健康管理に一層努めることが期待される。企業には、これまで以上に労働者の意見を丁寧にくみ取り、制度に反映させていく姿勢が求められる。

(注)労使の集団的な合意により、各社の実態に応じ、規制の例外を認めること。36協定の締結が代表例

【労働法制本部】

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