1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2024年2月15日 No.3625
  5. 第127回経団連労使フォーラムを開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月15日 No.3625 第127回経団連労使フォーラムを開催 -テーマは「『人への投資』促進による『構造的賃金引上げ』の実現」

経団連と経団連事業サービス(十倉雅和会長)は1月24日、東京・大手町の経団連会館で「第127回経団連労使フォーラム」を開催した。同フォーラムは、企業の経営者・人事労務担当者、労働組合の関係者らが春季労使交渉・協議のポイントや労働に関する諸課題などを共有する場として、毎年1月に開催している。会場とオンラインあわせて約270人が出席した。

十倉会長

開会にあたりビデオメッセージであいさつした十倉会長は、約30年ぶりとなる高い水準の月例賃金の引上げを記録した2023年の春季労使交渉を「構造的な賃金引上げの実現に向けて起点の年となった」と総括。そのうえで、24年の春季労使交渉では、「23年以上の熱量と決意をもって物価上昇に負けない賃金引上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務である」と強調した。また、中小企業における構造的な賃金引上げへと波及させていく必要性にも触れ、「価格転嫁や価格アップに対するネガティブな意識を社会全体で変えていくことが不可欠である」と呼びかけた。

小路副会長

芳野氏

続いてあいさつした小路明善副会長は、「『構造的賃金引上げ』の実現に向けて動き出した歯車を加速できるかどうかに、日本経済の未来がかかっている」と述べた。生産性の改善・向上を図り、賃金引上げの原資を継続的に確保するカギは、「イノベーションを創出し、付加価値の高い製品やサービスを生み出す人材である」と指摘。人材を人的資本・資産と位置付け、その価値の最大化を目指すべく「人的資本経営」に取り組んでいくことが重要であると強調した。

次に、「2024年日本経済の行方」と題してBNPパリバ証券の河野龍太郎経済調査本部長・チーフエコノミストが講演した。河野氏は、世界経済ならびに日本経済の動向について経済指標などのデータを用いて、「日本の潜在成長率はゼロ近傍まで低下している。緩慢な成長下でも労働需給が逼迫し、円安インフレが長期化している」と説明した。足元では、好調な企業業績、超人手不足、高い物価上昇率となっている一方、労働分配率は低い状況にあることから、24年は前年を上回る4%の賃上げを予想した。また物価高だけで賃金と物価の好循環は訪れるものではなく、実質賃金の上昇には生産性上昇率の改善が不可欠であると強調した。さらに、労働需給がタイトになるなかで大規模な財政出動を繰り返すと、インフレが助長され、マクロ政策次第ではスタグフレーションに陥るリスクもあるとの懸念を示した。

その後、金子晃浩自動車総連会長、松浦昭彦UAゼンセン会長、安河内賢弘JAM会長が、24年の労使交渉に臨む産業別労働組合の考え方をそれぞれ説明した。

経団連の藤原清明専務理事からの「2024年版経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)解説の後、日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長が講演した。芳野氏は、第一に「未来づくり春闘」で経済社会のステージ転換を着実に進める、第二に「働くことを軸とする安心社会」に向け、格差是正と分配構造の転換に取り組む、第三に「みんなの春闘」を展開し、集団的労使関係を広げていく――という「2024春季生活闘争」の基本スタンスのもと、23年を上回る賃上げ、働き方の改善、政策・制度実現に向けて取り組むと表明した。

最後に、人的資本経営に関する取り組みをテーマに、Uniposの田中弦CEOが延べ約5000社の統合報告書研究結果とベストプラクティスについて、レゾナック・ホールディングスの今井のりCHROが自社の具体的取り組みについて、それぞれ講演した。

【経団連事業サービス】

「2024年2月15日 No.3625」一覧はこちら