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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月15日 No.3625 知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0 -知的財産委員会企画部会

政府は、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を踏まえ、企業による知財・無形資産の投資・活用戦略の開示やガバナンスの構築への取り組みが投資家や金融機関による適切な評価に資することなどを示すべく、22年1月に「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.1.0」を公表した。さらに23年3月には、企業と投資家間の対話や情報開示の質を高めるためのコミュニケーション・フレームワーク等を提示した同ガイドラインVer.2.0を公表している。

企業のIR部門のみならず知的財産部門においても、同ガイドラインを踏まえ特許や商標等の知財・無形資産の構築・活用に取り組むことにより、投資家から適切な評価を獲得し、企業価値の向上に寄与することが期待される。

そこで経団連は1月22日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会企画部会(和田茂己部会長)を開催した。内閣府知的財産戦略推進事務局の池谷巌参事官から同ガイドラインVer.2.0について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 知財・無形資産ガバナンスガイドラインとは

米国において企業価値の源泉が無形資産へと変わる一方で、日本ではいまだに有形資産が企業価値の源泉となっている企業が多い。

物価上昇が見込まれる昨今、研究開発投資を積極的に行い、知財・無形資産を活用した高付加価値製品・サービスの創出が経済成長のためには欠かせない。

しかし、コーポレートガバナンス・コードの記載は抽象的である。そのため、企業や投資家・金融機関にとってより使いやすいものとすべく、同ガイドラインVer.1.0を提示した。

■ 知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0

Ver.1.0公表後、(1)企業価値評価に関する企業と投資家等との思考構造ギャップの存在(2)企業自身によるイノベーション創出力の低下(3)投資家等の中長期的な企業価値向上への積極的な関与――等の課題が明らかになった。

そこでこうした課題に対応すべく、Ver.2.0を作成した。

まず、(1)に対しては、企業と投資家・金融機関における価値協創をさらに加速させるべく、両者における共通の枠組みとしてコミュニケーション・フレームワークを提示した。具体的には、(ア)知財・無形資産の投資・活用戦略をどのように改革することで、目指すべき将来の姿を実現するのかといった、「ストーリー」を明らかにすること(イ)知財・無形資産と企業価値向上との間の因果関係(企図する因果パス)の提示(ウ)経営指標(ROIC逆ツリー等)と紐付けた説明・対話――等を企業に求めている。

(2)に関しては、スタートアップがカギとなる。大企業には、スタートアップに対して自社の知財・無形資産や人材・資金等の提供、カーブアウト等での知財・人材の切り出しなどによる変革を期待したい。

(3)については、投資家等へ知財・無形資産に注目した中長期的な運用・エンゲージメントに対するコミットメントへの期待を提示した。

経団連会員企業には、同ガイドラインのロゴマークやキャッチコピーを統合報告書やウェブサイトで使ってもらいたい。また、知財・無形資産の開示等において、どのような点で悩んでいるか、どのような取り組みを行っているかなどを示してほしい。

【産業技術本部】

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