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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年3月14日 No.3629 変化と多様性のなかで企業人の社会貢献活動参加に期待 -企業行動・SDGs委員会経団連1%クラブ

板東氏

経団連は2月14日、東京・大手町の経団連会館で、企業行動・SDGs委員会経団連1%(ワンパーセント)クラブ(福田里香座長)の会合を開催した。

第1部では、内閣官房孤独・孤立対策担当室の松木秀彰参事官が政府の孤独・孤立対策について説明し、取り組みへの理解と協力を企業に呼びかけた。続いて、文部科学審議官や消費者庁長官等を歴任した板東久美子氏から、企業の社会貢献活動に望むことについて、説明を聴くとともに懇談した。板東氏の説明の概要は次のとおり。

■ 市民活動・社会貢献活動との関わり

文科省では、社会貢献を軸としつつ、幅広い分野の仕事に向き合ってきた。また、大学の教育現場でボランティアに関する講義を担当し、学生と共に、NPOや地方公共団体からボランティア活動について直接話を聞く機会も多々あった。個人としても、現役時代から社会貢献活動に参加しようと考え、視覚障害者ランナーの伴走ボランティアを続けた。退官後は、日本赤十字社、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンや日本フィランソロピー協会等の非営利セクターに関わっている。これらの活動を通じて、企業の社会貢献活動への期待は「人」の側面でも強いことを感じる。

■ これから重要なのは「人」

人口減少が急速に進み、2100年には約6000万人になると推計されるなか、日本が持続可能で活力ある社会を維持するためには相当の工夫が求められる。また、厚生労働省「令和4年簡易生命表」によると、死亡年齢の最頻値は、男性が88歳、女性が93歳であり、すでに人生100年時代に突入している。退職後に30年程度の時間があるわけであり、これを生かさない手はない。こうしたなか、自助・共助・公助の構造が変化しており、地域づくりの担い手として多様な民の力が必要となっている。

変化と多様性の時代には、「自立・協働・創造」に加え、「生涯成長・多面展開力」がますます重要になる。これは、仕事・家庭生活・地域活動等、人としての多様な側面を充実させるとともに、生涯を通じ、学び、成長し、社会でさまざまな役割を果たすという、横と縦の多面性を広げていく力である。

■ 企業に期待すること

大きな社会変化のなかで、従業員が社会貢献活動に参加する社会的意義が従来以上に高まっている。企業の資金のみならず、ソフト・ヒューマンの資産は社会にとって大きな財産であり、従業員の社会貢献活動への参加が広がることを期待する。企業には、従業員が現役時代から社会貢献活動に参加しやすい仕組み作り・環境整備とともに、従業員が個人として社会参画することへの支援もお願いしたい。

これからの時代は、セカンドステージを意識しながら職業生活等を充実させることが重要である。従業員の社会貢献活動への参加は、企業にとって人材育成の効果があるうえ、従業員のエンゲージメントやウェルビーイングを高める観点からも注目に値する。

多様な人材が、学びとつながりを力に、さまざまな形で、さまざまな時期に社会課題解決・地域づくりに参画する社会をいろいろなセクターと連携・協力しながら創出したい。

◇◇◇

第2部では、日本NPOセンターと中央共同募金会の協力を得て、企業とNPOの今後の連携の創出に向けた交流会を開催し、企業側約30人、NPO側約50人が参加した。

【SDGs本部】

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