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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年10月3日 No.3653 最近の労働行政の動向 -労働法規委員会

田中氏

経団連は9月5日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(冨田哲郎委員長、小路明善委員長、芳井敬一委員長)を開催した。厚生労働省の田中誠二厚生労働審議官から、最近の労働行政の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 非正規雇用対策・年収の壁対策

雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は、直近の2023年は37.1%(2124万人)となった。非正規雇用労働者の待遇改善を図るべく、労働局と労働基準監督署の連携による同一労働同一賃金の遵守の徹底や、キャリアアップ助成金による正社員転換等を推進している。

また、人手不足への対応が急務となるなか、23年10月から、キャリアアップ助成金のコース新設や事業主証明による被扶養者認定の円滑化等を内容とする「年収の壁・支援強化パッケージ」を実施している。これらの施策により、短時間労働者が年収の壁を意識せず働くことのできる環境づくりを支援するとともに、制度の見直しに取り組んでいく。

■ フリーランス対策

フリーランス・事業者間取引適正化等法が24年11月に施行される。同法は、フリーランスが安心して働ける環境整備のため、「取引の適正化」(取引条件の明示等)と「就業環境の整備」(育児介護等への配慮や中途解除等の事前予告・理由開示等)に関する発注事業者の義務を定めており、施行に向けて周知をしていく。

■ 女性活躍の推進、ハラスメント対策

女性活躍推進の取り組みは進展しているが、依然として男女間賃金差異は大きく、女性管理職の割合は国際的に見て低い。こうした課題に対応するため、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」において報告書が取りまとめられた。報告書を踏まえ、今後、労働政策審議会において、女性活躍に関する情報公表の仕組みの見直しや女性特有の健康課題への対応、職場におけるハラスメント対策(カスタマーハラスメント等)について、法改正を見据えた審議を進めていく。

■ 安全衛生対策

23年の労働災害の発生状況を見ると、新型コロナウイルス感染症への罹患によるものを除いた労働災害による死亡者数が過去最少の755人となる一方、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増加し、13万5371人に達した。

こうしたなか、厚労省の「第14次労働災害防止計画」では、(1)自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発(2)高年齢労働者の労働災害防止対策の推進(3)個人事業者等に対する安全衛生対策の推進――など八つの重点事項を定めた。今後、国、事業者、労働者等の関係者が一体となり、同計画に基づく対策を推進していく。あわせて、労働政策審議会において、法改正も視野に入れながら、個別の検討項目に関する議論を重ねていく。

■ 働き方改革の今後

働き方改革関連法の施行から5年が経過するに当たり、厚労省は23年3月から「新しい時代の働き方に関する研究会」を開催している。同年10月、働き方の個別・多様化に対応できる労働基準法制に向け、シンプルで分かりやすく実効的な制度にする等の方向性を示した報告書をまとめた。また、24年1月からは「労働基準関係法制研究会」において、労働基準関係法制の課題の整理や具体的な法制度について議論している。論点は、労基法上の労働者や事業の定義、労使コミュニケーションのあり方など多岐にわたり、経団連や日本労働組合総連合会(連合)にもヒアリングした。今後、研究会の取りまとめに向け、検討を進めていきたい。

【労働法制本部】

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