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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年10月10日 No.3654 GX2040ビジョン、次期エネルギー基本計画 -資源・エネルギー対策委員会企画部会

小高氏

経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会企画部会(武田孝治部会長)を開催した。資源エネルギー庁長官官房総務課の小高篤志戦略企画室長から、GX2040ビジョンおよび次期エネルギー基本計画の関係審議会における検討状況等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ GX2040ビジョン

わが国がグリーントランスフォーメーション(GX)実現への取り組みを進めるなかで、デジタルトランスフォーメーション(DX)に伴う電力需要の増加の可能性など将来に向けた不確実性が高まっている。また、経済安全保障上の要請も踏まえ、GXとDXによるサプライチェーン強化を図る必要がある。こうしたなか、GXに資する国内投資を後押しすべく、産業構造・産業立地・エネルギーを総合的に検討し、2040年を見据えた「GX2040ビジョン」を策定することとしている。

特に、電力需要は省エネルギーを徹底してもなお増加する可能性が高く、これに対して可能な限り脱炭素電源の供給で対応する必要がある。再生可能エネルギーと原子力は、二者択一ではなく両方活用しなければならず、あわせて、火力の脱炭素化を進める必要がある。電力の安定供給を損なうことのないよう、石炭火力の稼働を抑制しつつ、設備は予備電源として確保する議論も必要である。また、トランジション期の低炭素電源としてガス火力を活用し、長期契約を確保していくことも重要である。欧州でも新規に液化天然ガス(LNG)の長期契約の締結が進んでいる。

次世代の産業競争力を支えるデータセンター・半導体工場や、わが国が強みを持つ素材産業等の国内立地には、安定的で安価な脱炭素エネルギーの供給が不可欠となる。脱炭素エネルギーの供給拠点には地域偏在性が存在することから、効率的・効果的な立地誘導も必要である。既存インフラの状況を踏まえつつ、雇用の創出、経済安全保障の向上等に資する産業立地を考えていかなければならない。

わが国の温室効果ガス(GHG)排出量削減は、エネルギー多消費産業の生産減少による部分があるなか、経済成長と両立させることが重要である。そのためには、海外との相対的なエネルギー価格差を縮小させるとともに、海外市場を開拓し、GX製品(注)を含むわが国の高付加価値製品を展開していく必要がある。

以上のような論点を踏まえ、わが国のGX実現に向けた現実的なルートをビジョンとして提示したい。

■ 次期エネルギー基本計画

今後のエネルギー政策の基本的な方向性を示す次期「エネルギー基本計画」についても、ビジョンと一体的に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会や関係審議会で検討を進めている。十分な脱炭素エネルギーを確保できないために、わが国の経済成長が阻害され、産業競争力が低下することがあってはならない。多面的かつ現実的に検討を進めていく。

(注)企業の脱炭素投資によって生み出された、製品単位のGHG排出削減量が大きい製品

【環境エネルギー本部】

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