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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年10月24日 No.3656 コンテンツ産業の拡大に向けて -クリエイティブエコノミー委員会

守山氏

経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館でクリエイティブエコノミー委員会(南場智子委員長、村松俊亮委員長)を開催した。内閣府知的財産戦略推進事務局の守山宏道次長から、新たなクールジャパン戦略に基づくコンテンツ産業の拡大について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ コンテンツ産業を取り巻く環境の変化

現在、アニメやゲームを中心に日本のコンテンツの人気が世界中で高まっており、日本への興味を喚起する入り口として大きな役割を果たしている。また、輸出額などの海外展開の規模は鉄鋼産業に匹敵し、半導体産業にも迫る4.7兆円と大きなビジネスになり、基幹産業として位置付けられるようになっている。

一方で、世界のコンテンツ市場の急成長が続くなか、日本市場の成長率は各国と比較して低位にあることなどから、輸出拡大によって海外の成長を取り込む必要がある。

■ 新たなクールジャパン戦略

政府としては、2012年の担当大臣設置を契機にクールジャパンの取り組みを本格化させ、19年には「クールジャパン戦略」を決定した。そして今回、コロナ後の環境変化も踏まえて24年6月に「新たなクールジャパン戦略」を決定した。

その主なねらいは、日本の魅力を世界に発信し、海外展開を拡大し、日本ファンを増やし、日本のブランド力を高め、ひいては社会の活性化やソフトパワーを強化することである。

新たなクールジャパン戦略では、海外展開の目標達成指標(KGI)・評価指標(KPI)を設定しており、コンテンツ分野は海外売上・収入を33年に20兆円、すなわち10年で4倍とする目標を掲げた。この目標に向けて、PDCAサイクルを回しつつ、マーケット情報等のインテリジェンス機能強化やビジネスモデルの変革、クールジャパンを担う人材の活動環境の整備といった課題に取り組むことが重要である。

今後海外展開20兆円を目指すうえでは、生産性を向上させたとしてもなお人材は足りない。こうしたことを念頭に置き、国内雇用への波及と生産性向上をセットに、道筋の具体化を図りたい。あわせて、クリエイターへの還元が図られるよう取引適正化に取り組む。

さらに、各分野で海外売上に対する企業の収入率を上げる観点から、IPの戦略的な活用を進める必要がある。また、PDCAサイクルを回すうえで、きめ細かなデータ、統計の整備も課題である。

■ コンテンツ産業官民協議会および映画戦略企画委員会

24年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」に、クリエイター・コンテンツ産業に係る政府の司令塔機能を明確化する方針が掲げられた。この方針に基づき、9月にコンテンツ産業官民協議会および映画戦略企画委員会を設置し、第1回会合を開催した。今後、官民協議会において、官民での情報共有を図り、具体的な課題を検討していく。

◇◇◇

意見交換では、新内閣においても、司令塔のもとで具体的な実行を進めることを期待する声が寄せられた。

【産業政策本部】

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