1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2024年10月24日 No.3656
  5. ベジャン・モルドバ投資庁長官との懇談会を開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年10月24日 No.3656 ベジャン・モルドバ投資庁長官との懇談会を開催 -日本NIS経済委員会

ベジャン氏

経団連の日本NIS経済委員会(國分文也委員長)は9月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。来日したナタリア・ベジャン モルドバ投資庁長官から、同国の経済情勢や投資機会について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ モルドバの投資環境

モルドバは2022年6月にEU加盟候補国に認定され、24年6月には正式な加盟交渉を開始した。これにより、EUとの協力関係が一層強化されることが期待されている。現在、モルドバは30年までのEU加盟を目標としている。

投資環境の魅力として、47カ国、10億人以上の消費者にアクセスできる貿易協定を結んでいることが挙げられる。また、汚職対策と公共サービスの迅速化・効率化を目指し、ビジネス向けサービスのデジタル化に努めている。現在はすでに65%がデジタル化されており、30年までに100%のデジタル化を目指している。さらに、再投資された利益に対して0%の税率を適用するなど、投資家にとって魅力的な環境を整備しており、海外直接投資の多くがこの制度の適用をすでに受けている。

政府は24年から28年にかけての国家産業化プログラムを採択し、六つの戦略的産業分野((1)電子機器(2)化学・医薬品(3)自動車部品・機械製造(4)繊維・衣料品(5)建設資材(6)農業食品・食品加工)に焦点を当てている。28年までに、製造業の雇用を国内労働力の15%まで増やし、工業生産を少なくとも25%増加させることを目標としている。

■ 成長が期待される産業分野

モルドバで成長が期待される産業分野として、IT、自動車、電子機器、再生可能エネルギー、農業食品、製薬、クリエイティブ産業、不動産、インフラ、建設資材の10分野が挙げられる。

特にIT分野では、過去8年間で収益が10倍以上に成長し、新興ヨーロッパで人口当たりのIT専門家数が2番目に多い国となっている。モルドバITパーク(MITP)は18年に設立され、国内外から2020社以上の企業が参加している。現在ではモルドバのIT産業全体の約80%がMITPに参画し、モルドバのGDPの4.2%を生み出している。

自動車産業では、約20社の大手企業が世界的ブランドに部品を供給しており、全世界の自動車部品の1%がモルドバ産である。モルドバの自動車部品産業は現在、重要な転換期にあり、付加価値の高い製品への移行が進んでいる。

農業食品分野では、世界有数の果物や野菜の生産国・輸出国となっており、多くの農産物で輸出国ランキングの上位に位置している。

インフラ分野では、ウクライナ復興を見据え、EUとウクライナのゲートウエーになることを目指している。EU加盟に向けた準備資金の多くもインフラに充てられており、今後の成長が期待されている。

【国際経済本部】

「2024年10月24日 No.3656」一覧はこちら