経団連(十倉雅和会長)の安永竜夫審議員会副議長・日本ブラジル経済委員長は11月5日、日本ブラジル経済合同委員会(5~6日、東京・大手町の経団連会館で開催)のために来日したリカルド・アルバン ブラジル全国工業連盟(CNI)会長、グスタボ・ピメンタ ブラジル日本経済委員長と共に石破茂内閣総理大臣を訪問した。同合同委員会を機に、日本とブラジルに加え、メルコスール(南米南部共同市場)各国の経済団体の賛同を得て取りまとめた「日本メルコスールEPAの早期実現を求める共同提言」を建議した。
安永委員長は、同提言を手交したうえで、経済界にとっての日本メルコスール経済連携協定(EPA)の重要性と、約10年前から日伯政府に対してEPAの早期締結を訴えてきた経緯に言及。2024年11月のG20リオデジャネイロサミットに向け、EPA交渉開始に向けた力添えを求めた。
ピメンタ氏は、日本とブラジルの長きにわたる経済関係の歴史に触れたうえで、EPA等を通じた、脱炭素やエネルギー移行の分野におけるさらなる連携強化のポテンシャルを強調した。
これに対し、石破首相は、25年の日ブラジル外交関係樹立130周年を機に、ブラジルとの関係を強化するとともに、国内のさまざまな意見に耳を傾けつつ、幅広い分野でのメルコスールとの関係強化に向けて協議していきたいと応えた。
また翌6日、安永委員長とピメンタ氏は、岩屋毅外務大臣と武藤容治経済産業大臣を訪問。同提言および同合同委員会で採択した「日伯経済関係の推進に向けた共同声明」を建議した。
安永委員長は、メルコスールが人口約3億人、GDP3兆ドルに迫る一大経済圏であり、鉱物資源や食料資源の世界的な供給元であることを指摘。そのうえで、EUや韓国がEPA交渉で先行するなか、日本企業が同じ土俵に立つことができるよう、交渉の早期開始を求めた。
岩屋大臣は、幅広い分野で日本とメルコスールの関係強化を進展させていくことが非常に重要であり、大局的な見地に立って検討を進めたいと語った。
武藤大臣は、日本とブラジルの二国間およびメルコスールとの経済関係強化に向けて、両国経済界から具体的に提言してもらったことに謝意を示した。あわせて、メルコスールとの経済関係の強化は貿易投資の拡大や日本企業の競争条件の確保の観点からも重要であると述べた。
【国際協力本部】