経団連は10月28日、東京・大手町の経団連会館でアフリカ地域委員会(大橋徹二委員長、加留部淳委員長)を開催した。外務省アフリカ部の堀内俊彦部長から、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けた日本の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ アフリカの現在地と向かう先
アフリカは、アフリカ、あるいは各サブリージョンとしてのまとまりを強めつつも、各国が政治、経済などをそれぞれ自己主張している状態にある。日本企業のアフリカ各国への進出状況も、いわゆる「ビッグ4」といわれるエジプト、ケニア、南アフリカ共和国、ナイジェリアを中心にまだら模様である。
アフリカは、(1)重要鉱物等の資源やコモディティの獲得の場(2)人口増やアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)による経済統合等を通じた将来の有望市場(3)生産拠点(4)新たなビジネスモデルの発掘・実証の場(5)人材の宝庫(6)国際的なルールメーカー(7)新しい発想のヒントの源泉――といったさまざまな意味合いを持つ。
■ TICAD9に向けた日本の取り組み
1993年に始まったTICADは、開発と紛争が二大主題であった第1世代、「ビジネスTICAD」へ徐々に移行した第2世代、そして現在の第3世代へと変遷を遂げてきた。現在では、EU、中国、韓国、インドネシアなどさまざまな国・地域がTICADと同様のフォーラムを開催するようになった。日本としても、アフリカ、日本、世界の変化を先取りして、アフリカ側から選ばれるパートナーシップを持たなければならない。
2025年8月に横浜で開催予定のTICAD9に向けて、24年8月に東京でTICAD閣僚会合を開催した。TICADの現在の三つの柱、すなわち「社会」「平和と安定」「経済」は維持しつつ、アフリカが優先課題として掲げる「アジェンダ2063」のもと、日本として、アフリカと共に、アフリカの課題、地球規模の課題への解決策を「共創」していきたい。
■ 日本企業への期待
日本は他国と比較して、アフリカに対する投資判断が劣後している感がある。日本企業には、まずは一度アフリカに行ってみてほしい。外務省としても、アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションなどの機会を提供している。また、アフリカビジネス協議会投資環境改善ワーキンググループや、世界各地域の日本大使館に設置している経済広域担当官などを通じて、日本企業のアフリカビジネスを支援したい。
「Made with JAPAN」により、(1)日本(2)アフリカ(3)世間(世界)(4)将来世代――の「四方良し」を実現する底力が日本にはあると思う。
【国際協力本部】