プレンコビッチ首相(左)と髙島副会長
経団連(筒井義信会長)の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長は9月19日、東京・大手町の経団連会館で、クロアチアのアンドレイ・プレンコビッチ首相と懇談した。クロアチア側の発言概要は次のとおり。
クロアチアはこの35年間、激動の時代を経験してきたが、北大西洋条約機構(NATO)、EUに加え、2023年にはシェンゲン協定に加盟し、ユーロも導入した。政府のガバナンスは海外から信頼されている。24年のGDP成長率は3.9%とEU内で2番目に高く、失業率も低い。わが国の経済は着実に成長している。
これまでにエネルギーインフラに大規模な投資を行ってきた。液化天然ガス(LNG)ターミナルを持つうえ、隣国とつながるガスパイプラインに約6億ユーロを投じており、将来は水素を供給したい。原子力発電では、小型モジュール炉(SMR)を導入したい。
わが国は23年にウクライナ地雷対策会議(UMAC)を初めて開催した。1990年代の内戦の際に埋められた地雷の除去に取り組んだ実績があり、地雷を除去する無人ロボットを製造する企業もある。ウクライナには多くの戦車や武器などを供与してきた。
2019年の日EU経済連携協定(EPA)の締結により、EUと日本の貿易額は669億ユーロに上っているが、クロアチアと日本の貿易額は1億ユーロ程度にとどまっており、日本との貿易を拡大させたい。
クロアチアの経済は革新を続けている。優れた地理的条件や輸送網を生かし、アドリア海から中欧への玄関口となれる。観光業も盛んであり、人口約400万人ながら外国人観光客は年間2000万人以上である。
わが国は三海域イニシアティブ(注)の議長を務めており、26年には首脳会合を開催する。こうした機会を含め、皆さまには近い将来、クロアチアを訪問してほしい。
(注)三海域(バルト海、黒海、アドリア海)に囲まれた地域のインフラ整備(エネルギー、交通・運輸、通信・デジタル等)を推進するために15年に発足。中東欧の13カ国が参加し、日本は24年に戦略的パートナーとして参加
【国際経済本部】
