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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年11月13日 No.3705 筒井会長が「Gゼロサミットジャパン2025」であいさつ

筒井会長(提供=ユーラシア・グループ)

経団連の筒井義信会長は、10月21日に都内で開催されたユーラシア・グループ主催の「Gゼロサミットジャパン2025」で、同社のイアン・ブレマー社長と共同議長を務め、開会あいさつをした。筒井会長の発言要旨は次のとおり。

■ 現状認識

戦後80年を迎えた今、われわれは時代の転換点に直面している。

戦後の国際経済秩序は、ブレトンウッズ体制のもとで発足し、これまでも1971年のニクソン・ショックや1989年の冷戦終結といった大きな転換点があった。

現在の国際秩序は、米中の戦略的競争やロシアによるウクライナ侵略等により大きく揺らいでおり、われわれは、リーダーシップが不在でガバナンスを欠いたGゼロの世界にあるといえる。

■ 経団連が目指す世界

こうしたなかで、数々の難題に真正面から立ち向かい、打開策を見いだしていく必要がある。

このため経団連では、2040年に目指すべき姿として「貿易投資立国」と「科学技術立国」を掲げ、その実現に向けた方策をまとめた「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)を24年12月に公表した。

われわれは、分断が進むこの世界にあっても、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に継続して取り組んでいく必要がある。

■ 日本の役割と取り組むべき課題

このために、わが国としても多面的な取り組みを進める必要がある。

まずGゼロの世界では、自国を守るためにも、他国から信頼を得るためにも、わが国の国力を強化する必要がある。国力は外交力や防衛力のみならず、経済力や技術力にも大きく左右される。わが国が優位性を持つ技術をさらに磨き、不可欠性の獲得等に取り組むことが必要になる。

国力の強化を通じて高まるわが国の国際的な発信力を生かし、自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、法の支配を重視する国々と協力して共同リーダーシップを発揮し、国際ルールの形成と整備を主導していくべきである。

■ 国際ルール形成のアプローチ

国際ルールの形成に当たっては、二国間・複数国間の取り組みと、多国間の取り組みの二つを並行して進めることが重要になる。

まず、これ以上の分断に歯止めをかけ、自由貿易を推進するために、二国間・複数国間で経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を推進することが重要であり、具体的には、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の深化・拡大やメルコスール(南米南部共同市場)等とのEPAの締結が求められる。

多国間の取り組みについては、自由貿易の番人である世界貿易機関(WTO)の機能の強化に向け、改革に取り組む必要がある。

経団連は10月14日、WTO改革に関する具体策をまとめた提言「『WTO2.0』の構築に向けて」を公表し(10月16日号既報)、1カ国でも反対すると物事が決められないコンセンサスに基づく意思決定のあり方の見直しや紛争解決制度の実効性の確保等を通じて、WTOがその機能を回復・強化することを求めている。

■ 経団連の取り組み

これらを実現するため、経団連も自ら汗をかいていく。経団連は、各国・地域の政府・経済界の要人と意見交換しており、そのなかで国際ルールの遵守や形成を働きかけていく。

私自身も今晩、日本を出発し、WTOのンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長とWTO改革について意見交換してくる。

◇◇◇

同サミットでは、筒井会長のあいさつやブレマー氏のスピーチに続き、貿易とサプライチェーン、日米関係等について、熱のこもった議論が交わされた。

【国際経済本部】

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