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Policy(提言・報告書) 環境、エネルギー 低炭素社会実行計画 第三者評価委員会 評価報告書

2012年9月19日

1.はじめに

経団連は、現在の「自主行動計画」に続く新たな計画として、2009年12月に「低炭素社会実行計画」(以下、実行計画)を策定し推進していくことを公表した。本計画は、わが国産業界が世界最高水準の低炭素技術の開発・実用化をさらに進め、環境と経済が調和する低炭素社会の実現に向け世界をリードすることを宣言したものである。

実行計画を実現するため、以下の基本方針が示されている。

  1. 参加する業種・企業(以下、参加業種)は、世界最高水準の低炭素技術やエネルギー効率の維持・向上を社会に公約する。
  2. 参加業種は、地球規模の低炭素社会づくりを進める観点から、自らが主体的に取り組む内容をメニュー化した上で、公表し、実施する。
  3. 経団連は、参加業種による取組が着実に行われるよう、政府とも連携しながらPDCAサイクルを推進する。

実行計画の透明性・信頼性を一層向上させる観点から「低炭素社会実行計画第三者評価委員会」(以下、委員会)が2012年7月に設置された。委員会は、2回の会合開催と2回の自主行動計画WGへの参加により、16業種からヒアリングを実施した。具体的には、産業・エネルギー転換部門の日本ガス協会、日本鉄鋼連盟、日本化学工業協会、日本製紙連合会、セメント協会、電機・電子4団体、日本建設業連合会、日本自動車工業会・日本自動車車体工業会、日本鉱業協会、石灰製造工業会、日本ゴム工業会、全国清涼飲料工業会の12業種、業務部門の不動産協会、日本ビルヂング協会連合会、NTTグループの3業種、運輸部門の定期航空協会を対象に、エネルギー産業の低炭素化に向けた取り組みの実態、エネルギー多消費産業である素材産業の活動や加工・組立部門の技術革新、また全業種に対して製品・サービスのライフサイクル全体での排出抑制や関連する運輸や民生部門の取り組みについてヒアリングを実施した。

2.実行計画の取組みの評価

委員会は、参加業種が、実行計画の構成項目である目標の妥当性や主体間連携の強化、国際貢献、革新的技術開発を含む実行計画全体についての説明責任を果たしているか、透明性・信頼性向上の視点から審議した。

(1)業種別に見た実行計画

1. エネルギー多消費9業種の実行計画
a.素材・製造業

日本鉄鋼連盟は、将来の粗鋼生産量の見通しが不透明な中で、最先端技術の導入によって2020年までにCO2をBAU(Business as usual)比500万トン削減する目標を掲げている。日本が開発した鉄鋼関連の省エネ技術は海外でも普及しており、その導入効果はCO2削減量でみると「エコプロダクト」(高機能鋼材の供給による貢献)で約3,400万トン、「エコソリューション」(省エネ技術の途上国等への移転による貢献)で約7,000万トンと見積もられている。今後は、国内における技術進歩によるCO2削減への取り組み努力とともに、グローバルな視点から世界のCO2削減に貢献していくことが期待される。

日本化学工業協会は、2020年時点における活動量に対して、BAUのCO2排出量から150万トン削減する目標を掲げている。その内訳は、エチレン製造装置や蒸気生産設備など主要プロセスにおける省エネ技術に加えて、それ以外の製造プロセスでも細かい改善の積み重ねで同量程度の削減を目指したものである。エチレン製造では、国際エネルギー機関が示す世界最高水準の省エネを上回る目標を掲げていることは称賛に値する。化学産業は他産業に素材・原料を供給しており、社会全体から見ると製品が利用されている段階でのCO2排出量の評価も重要となる。今後は、主体間の連携をさらに強化することで、LCA的視点からの石油化学製品のCO2排出量を算定するガイドラインの整備が必要であり、その透明性・信頼性の確保が大切となる。また、そういったガイドラインが国際標準となって海外においても適用され、環境に優れた日本製品を広く普及していく環境整備が必要となる。

日本製紙連合会は現行の自主行動計画において、省エネ対策、燃料転換、生産設備の統廃合等によって2010年度の化石燃料消費のエネルギー原単位を1990年度に比べて25%以上改善している。実行計画では、燃料転換である廃材・廃棄物等の有効利用を中心に、高効率古紙パルパーや高温高圧型黒液回収ボイラーの導入などによって、2020年度にはBAUケースに比べて139万トン-CO2の削減目標を掲げている。BAU ケースは、紙生産量を2009年度実績比で4.6%増を見込んでいるため、2020年度における化石燃料消費とCO2排出量は、量と原単位の両方で2009年度に比べて大きな値となる。今後の対策として、バイオマス燃料の供給拡大や国内外における植林活動を積極的に進めていくことが期待される。

セメント協会は、エネルギー効率の高いSP(サスペンションプレヒータ付きキルン)やNSP(ニューサスペンションプレヒータ付きキルン)の導入などによってエネルギー原単位が既に大幅に改善されてきているため、今後の改善余地が小さくなっている。実行計画では、省エネ設備の普及や廃棄物等の利用拡大によって、2020年度にはエネルギー消費量を2005年度比で6.9万kl、1990年度比で28.1万kl削減する目標を打ち出している。今後は、道路をアスファルトからコンクリート舗装へ転換するなど、ライフサイクルから見た活動に積極的に関与し、主体間連携を強化することで、大幅な削減を期待する。日本はセメント製造に代替エネルギー廃棄物を積極的に利用し、化石燃料の消費を抑制しつつ、循環型社会の形成にも積極的に貢献している。今後は、国外においても、省エネ技術を移転することで、グローバルに見たCO2排出削減に貢献することを期待する。

電機・電子4団体は、実行計画では省エネ法の努力目標を基に、生産プロセスのエネルギー効率改善/排出抑制によって2020年に向け、エネルギー原単位を年平均で1%改善していく目標を掲げている。「高効率機器の導入」など従来対策による削減継続は限界に近付いており、国際競争下の厳しい経済状況にも係わらず、歩留まり改善、品質向上、燃料転換など地道な努力を積み重ねて達成できるとしている。業界のプロダクトである製品・サービスのライフサイクルから見たCO2削減量には大きなポテンシャルがあり、実行計画では発電技術、家電製品、ICT(情報通信技術)製品などの性能向上によって排出抑制に貢献していくことが明記されている。製品・サービスの削減量には算定方法がまだ確立されていないなど課題が残されているが、国際社会に通用する方法論の確立と、環境に優れた日本製品・サービスの海外輸出拡大を期待する。

日本自動車工業会・日本自動車車体工業会は、経団連の環境自主行動計画で総量削減目標を掲げ、2008~2012年度平均でCO2排出量を90年度比25%削減することを目標とし、その目標は概ね達成する可能性が高い。実行計画では、2020年度に1990年度比28%削減する新たな目標を掲げている。この目標値の前提として、生産台数が10年間で10%増と次世代車比率18%を見込んだことによるCO2排出量の増加がある。そのBAUのCO2排出量に対して、削減目標を165万トンとし、それを省エネ努力と電力原単位の改善によってほぼ同じ割合で達成するものである。しかし、後者の電力原単位の改善効果は電気事業の電源構成に依存しており、原子力発電の運転再開の目途が立っていない中、削減には不確実性が高い。省エネ努力の削減対策には、製造工程におけるエネルギーの供給側と使用側における設備改善、運用管理の改善、燃料転換、それに革新型技術開発の積み上げと、オフィス・研究所の省エネ努力が挙げられている。業界のCO2削減への貢献は、燃費改善や次世代車の開発・実用化など自動車のライフサイクルでの取り組みが大きい。試算によると、2020年度における削減ポテンシャルは国内で6百万~1千万トン(2010年度からの削減ポテンシャル)、国外で約1.7千万トン(2020年の世界市場で日本同様、次世代自動車が18%と仮定した場合)と推計されている。今後は、国内での製造工程における省エネ努力に加えて、燃費改善車や次世代車を国内外に積極的に普及させていくことが望まれる。

b.エネルギー産業

エネルギー産業については、日本ガス協会に対してヒアリングを実施したが、CO2排出量が大きい電気事業連合会と石油連盟に対しても2010年11月に報告された実行計画#1を基にして評価を行った。

1「地球温暖化対策 主要3施策に関するヒアリング」(2010年11月19日)に対する経団連提出資料を参照(http://www.npu.go.jp/policy/policy07/pdf/20101203_02/siryou3.pdf)。

日本ガス協会は、都市ガス製造効率が既に99.5%にまで向上しており、更なる原単位改善は限界に近付いていること、また、コージェネレーションなど新規事業の拡大を検討していることから、2020年までの削減は原単位で9.5~10g- CO2/m3(詳細検討中)と、2011年度実績から上昇することが見込まれている。しかし、原子力発電の依存度が低下する流れの中で、今後、天然ガスの需要は高まっていくことが予想され、ガスコージェネレーションやLNG複合発電の導入など発電事業部門の拡大がガス事業全体の原単位を高めていく可能性もある。今後は、都市ガス供給システムだけでなく業界全体の排出量を提示していくことが求められる。ガスの利用部門におけるCO2削減は、石油業界と同様、そのポテンシャルが大きいと予想されており、具体的には天然ガス自動車、産業用熱需要への天然ガス転換、コージェネレーションや家庭用燃料電池などが挙げられる。その多くは石油製品代替であり、今後は関連業界との連携を図ることで最適な導入システムを検討していくことが求められる。

電気事業連合会については、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、日本のエネルギー・原子力政策が見直されていることから、2020年の削減目標水準(CO2排出原単位を2009年度実績から約2割減)について、目標の再検討が求められる。電気の排出原単位は、全体の排出量にも大きな影響を与えることから、原子力発電の運転再開を含めて、引き続き、改善に向けた努力が求められる。

石油連盟においては、既に製油所のエネルギー効率が世界最高水準に達しているために、今後の省エネ余地は小さく、2020年までに原油換算53万kL/年(140万トンCO2/年に相当)の省エネ目標を掲げている。削減が期待できる活動は、運輸部門でのバイオ燃料利用、クリーンディーゼル車の普及、高効率石油給湯機や石油利用燃料電池の普及など、主体間の連携強化によると報告されており、今後は石油製品を利用する関連機関との協力関係を強化することでライフサイクル的な視点からCO2削減を図る努力が求められる。

2. 他業種の実行計画

定期航空協会では、現行の京都議定書目標達成計画に基づき、2008~2012年度5年間平均のエネルギー消費原単位(有償トンキロ輸送当たり燃料消費量)を1995年度比で15%改善する目標を掲げて取り組んでいる。2010年度実績では既に17%に達している中、低炭素社会実行計画においては、さらに取組みを強化し、2020年度のエネルギー消費原単位を2005年度比で21%削減することとしている。同協会ではこの目標達成に向けて、複合材による機体の軽量化や燃費効率に優れたエンジンを搭載した新型航空機を導入するとともに、定期的なエンジン洗浄による燃費効率の改善、搭載物軽量化等に取り組むこととしており、利用者の利便性を向上させながら、CO2排出削減の極大化を可能とするエコフライトが望まれる。併せて、将来的にバイオジェット燃料の開発・実用化が持続可能な取組みを後押しするものと期待される。

NTTグループは、2020年に向けて「Green of ICT」(自らの事業活動における環境負荷低減)、「Green by ICT」(ICTサービスの普及拡大を通じた社会全体の環境負荷低減への貢献)、「Green with Team NTT」(従業員のエコ活動実践を通じた環境負荷低減)という3つのコンセプトに基づき、自社グループ排出CO2を2020年度BAUから15%(60万t-CO2)以上削減する目標(2008年度比)を掲げている。次世代ネットワークサービスや高速無線サービスの設備増強などに伴い、成り行きではCO2排出増が見込まれる中、NTTグループでは目標達成に向けて、通信設備やデータセンターの省エネ、照明の消灯など社員による省エネ活動を行うとしている。今後、ICTによるCO2削減効果を「見える化」する観点からも、環境影響評価手法の国際標準化にイニシアティブを取ることが期待される。

全国清涼飲料工業会は、過去20年間における消費者嗜好の変化(ミネラルウォーターと緑茶に対する需要の大幅増等)に起因するエネルギー消費量の増大(1990年比2010年実績:2.56倍)に直面しつつ、排出係数の小さな燃料への転換によってCO2排出量を相対的には抑制(1990年比2010年実績:2.07倍)している。既に燃料転換が相当進捗していること、また、品種数や多頻度・小ロット生産の増加に伴い、製造ラインの洗浄殺菌回数が増加することなどから、エネルギー消費抑制は困難な見通しであるが、例えばコンビニや自動販売機等とも連携し、消費者の購入行動に影響を与えるべく、普及広報を行うことを期待したい。

日本鉱業協会では、資源メジャーによる寡占化や中国の急激な大幅需要増、資源ナショナリズムの台頭など厳しい国際環境にあって、経営効率化や共同精錬等を通じて権益の確保、鉱山開発経営に参画するとともに、国内資源の有効活用のためリサイクルにも積極的に取り組んでいる。近年顕著な銅品位の低下に伴い、精錬におけるエネルギー使用量は増大する傾向にあるが、排熱回収や電動機インバータ化等の最先端技術を最大限導入することによって、2020年度におけるCO2排出原単位を1990年度比で25%削減するという実行計画を掲げているが、これ以上ビジネス環境が悪化すれば、事業撤退(海外移転)が進みかねないことが危惧される。

石灰製造工業会では、石灰の最大ユーザーである鉄鋼業の使用実績と生産見通しを踏まえ、熱効率に優れた新炉(立窯等)への転換、リサイクル燃料の使用拡大等によって、2020年度のBAUから15万トン削減する300.6万t-CO2を目標に掲げている。日本国内で賄える鉱物資源であることに鑑み、今後、広範な業界との主体間連携に取り組むことによって、ライフサイクル全体でのCO2削減に寄与することが期待される。

日本ゴム工業会では、高効率コージェネレーションの導入、燃料転換等によって、2020年度のCO2排出原単位を2005年度比で15%削減する目標を掲げている。一方、同業界において、LCA的評価を通じた低燃費タイヤの普及という観点から、「転がり抵抗」と「ウェットグリップ」の2つの性能について等級制度に基づく表示を行うタイヤラベリング制度を2010年1月に運用開始し、欧米韓等の各国で同制度の検討が行われていることは特筆すべき取組みと言える。今後は、セメント業界や自動車業界等との主体間連携を強化していくことが期待される。

日本建設業連合会は低炭素社会実行計画において、現行の自主行動計画目標(2012年度までに施工高当たり原単位を13%削減)を深掘りし、2020年度までに施工高当たり原単位を20%削減することとしている。こまめな消灯やアイドリングストップをはじめ、建設工事で共通して取組み可能な項目につき実施率目標値を設定し、進捗管理を行うとともに、ダンプやトラックなどの省燃費運転を徹底させることで、さらなるCO2削減を目指す同連合会の地道な取組みは、大いに評価できる。今後、不動産協会等と連携し、設計施工物件における省エネ設計をいかに推進していくかが民生部門の排出抑制の重要なカギを握ると考えられる。

日本ビルヂング協会連合会は、現行の自主行動計画には参加していないが、低炭素社会実行計画への参加を自らいち早く表明した団体である。優良なオフィスビル事業者で構成される同連合会では、既に2008年6月に策定した「ビルエネルギー運用管理ガイドライン」に基づき、エネルギー原単位の不断の改善に努めている。低炭素社会実行計画では、同ガイドラインに定める93のCO2削減対策について、各々実施率の目標(例:LED照明の導入14%(現況)⇒95%(2020年))を設定することで、業務部門のCO2対策に寄与するとしている。今後は、国・地方自治体等とも連携しつつ、中小ビルの対策をいかに進めていくかが課題である。

不動産協会では現在、「低炭素型街づくりアクションプラン」として、自社使用ビルのエネルギー消費量の削減(2008~2012年度平均:1990年度比5%削減)に取り組むとともに、2020年に向けて新築のオフィスビルおよび分譲マンションについて、より高い水準の環境性能を盛り込むべく、検討を行っている。テナント関連のエネルギー消費量がオフィス全体の約7割を占めるため、事業者のみの取組みでは限界があるため、今後、テナント等とさらに連携を図ることが求められる。

(2)全体からみた実行計画

ここでは、実行計画を構成する項目である削減目標、主体間連携、国際貢献、革新的技術の4項目からみて、ヒアリングを実施した16業種の実行計画は全体から見てどのように取り組まれていたかについて報告する。

  1. 2020年までの削減目標の設定
    ヒアリングした16業種のうち9業種がエネルギー原単位またはCO2原単位を削減目標に設定していた。これまでの自主行動計画でも指摘があったことであるが、原単位を指標にすることは、業種の活動努力を判断する上で重要である。しかし一方で、CO2削減量を把握するためには排出されているCO2総量を求める必要がある。各業種は透明性を高めるためにも、CO2総量を提示するとともに、削減量に対して活動量、構造変化、原単位から要因分析を実施する必要がある。

  2. 主体間連携の強化
    多くの業種が、原単位の改善や製品・サービスの構造的変化でCO2排出量を大幅に削減していくことが難しくなりつつある。今後の削減余地として、業種内の事務所での省エネや原材料・製品の輸送過程におけるCO2削減がある。また、省エネ家電、低燃費自動車、高断熱住宅など低炭素製品・サービスの開発は、使用・消費段階でCO2排出量を大幅に削減することができる。ライフサイクルから見た製品・サービスのCO2削減には、各業種の連携強化が必要になる。例えば、転がり摩擦を軽減するタイヤの開発、道路をアスファルトからコンクリートに変えることは、軽重量の自動車を開発していくことと同じように重要な技術開発となる。個別業種の取り組みを互いに連携し合う主体間連携は、全体としての相乗効果が得られる。そういったライフサイクル的な視点から見たCO2削減に対して、今回、ヒアリングした多くの業種でさまざまな取り組みが行われていた。今後は、主体間連携の強化に対して、官民が連携して一層、努力していくことを期待する。その際、ライフサイクルから見た製品のCO2排出量を分析することができる方法論の開発が求められる。

  3. 国際貢献の推進
    わが国産業界は、国内での削減余地が限られているが、その優れた低炭素技術を活かし、地球規模の温暖化対策に貢献していくことがますます求められている。国際貢献には、わが国の優れた環境製品・技術の普及と植林などCO2吸収源の環境整備を海外で実施していくことが挙げられる。前者の低炭素技術の国際展開については、多くの業種で検討、あるいは実施されているが、今後は各国のニーズに合った技術や製品に、どのように組み込んで市場を拡大できるかが課題となっている。後者の植林については日本製紙連合会など限られた業種で実施されており、今後はREDD+を含めた政府のインフラ整備活動に協力することで、各業種が森林保全についての更なる取り組みを行っていくことが求められる。

  4. 革新的技術の開発
    今回ヒアリングした業種においては、2020年までに革新技術による削減効果はそれほど期待できない見通しである。その理由としては、省エネや低炭素技術への投資効果が、頭打ちになってきており、また円高等の影響で企業の売り上げが伸び悩んでいることが挙げられる。技術立国であるわが国にとって、革新的技術の開発は海外競争力を強化していく上でも重要である。今後とも、わが国の国際競争力を維持していくためにも、長期的な視点で優れた環境技術の開発に取り組むことが望まれる。

3.まとめ

ヒアリングにおいては、各参加業種とも業界を取り巻く現状や課題を踏まえつつ、自らが行い得る最大限の取組みならびに目標設定の考え方や妥当性について定性的・定量的に説明された。概ね一定の説明責任を果たしたものと評価する。

第三者評価委員会として、関心が強かったライフサイクルやグローバルな活動を通じた排出削減ポテンシャルについても、各業界・業態の実情に応じた特色ある取り組みが詳細かつ具体的に説明され、日本産業界の裾野の広い底力を実感した。今後は、それら製品を積極的に普及し実効ある削減に生かしていくことが求められる。

今後の課題としては、業界間連携の強化や国内外への情報発信強化などについて、参加業種のさらなる取組を期待したい。一方、LCA的取組みの算定手法の確立、海外削減ポテンシャルの一層の追及、革新的技術開発を可能とする環境の整備などについては、官民が連携していく取組みが不可欠となる。第三者評価委員会としては、今後のPDCAサイクルにおいて不断の改善を期待する。

自主行動計画では、各参加業種が自主的な削減目標を掲げる一方で、経団連としても統一目標を掲げ、産業界全体として自主的な取り組みを実施してきた。各参加業種の地道な活動により第一約束期間の削減目標は、ほぼ達成できる見通しが得られている。各参加業種は、この間の活動を通じて、GHG削減対策の取り組むべきポイントと課題を客観的に判断する能力を身につけてきた。

実行計画では、各参加業種が実施したこれまでの削減効果の実績と培われたノウハウをいかにして社会に還元できるかにある。国内では地方自治体の実行計画や国民レベルの活動に、国外では新興国を中心とした国々に低炭素製品や技術システムの普及を図ることになる。経団連は、各参加業種のボトムアップ活動を支援するために、体制を整備し普及啓発に必要な広報活動を強化していく必要がある。

以上

低炭素社会実行計画 第三者評価委員会 委員名簿

(順不同・敬称略)
委員長
内 山 洋 司 (筑波大学 システム情報系 教授)
委員
青 柳   雅 (三菱総合研究所 前上席研究理事)
浅 田 浄 江 (ウィメンズ・エナジー・ネットワーク(WEN) 代表)
潮 田 道 夫 (毎日新聞社論説委員)
麹 谷 和 也 (グリーン購入ネットワーク 専務理事 事務局長)
崎 田 裕 子 (ジャーナリスト/環境カウンセラー)
菅 家   功 (連合副事務局長)
新 美 育 文 (明治大学法学部教授)
松 橋 隆 治 (東京大学大学院 工学系研究科教授)
吉 岡 完 治 (慶應義塾大学 名誉教授)
以上

ヒアリング資料

産業・エネルギー転換部門

業務部門

運輸部門

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