一般社団法人 日本経済団体連合会
クリエイティブエコノミー委員会
エンターテインメント・コンテンツ産業部会
わが国のコンテンツ産業は、海外市場規模が半導体の輸出額を超える等、近年大きく成長している。経団連では2023年に提言#1を公表し、コンテンツ産業を日本経済をけん引する産業とするべく、力強い振興策を図るべきと提言した。
その結果、政府・与党においても議論が加速し、「新たなクールジャパン戦略」はじめ、多くの政府文書において、コンテンツ産業の可能性と、その振興策が明記され、コンテンツ産業がわが国の基幹産業と位置付けられた。こうした政府の動きを受けて、2024年の提言「Entertainment Contents ∞ 2024#2」では、具体的な課題と、必要となる施策の方向性についてとりまとめたところである。
多くのヒット作が生まれるなど、世界における日本のコンテンツIPの存在感が高まる一方で、各国も強力な産業振興策を打ち出し、国際的な競争環境は激化している。コンテンツ産業をわが国の基幹産業としてさらに推進していくためには、民間主導によるクリエイティビティの発揮を大前提にしつつも、官民連携による取り組みが不可欠である。政府においては、これまで以上に本腰を入れ、複数年にわたる大規模かつ戦略的な支援を今すぐ行うべきである。
下記の項目は、「Entertainment Contents ∞ 2024」のフォローアップとして、既存の施策に加え、追加的に行うべき施策、また、大幅に拡充すべき施策を示すものである。2033年の海外売上高20兆円という政府目標の実現に向けては、これらに留まらず、司令塔機能の強化や税制優遇といった、コンテンツ産業全体に対する支援策の拡充も不可欠である。
経団連では、引き続き、コンテンツ産業の振興における民と官の健全で適切なパートナーシップの構築に向けて、活動を続けていく。
以下の項目は、本年度(令和6年度補正予算・令和7年度当初予算)のコンテンツ関連施策を前提に、追加的に行うべき施策、また、大幅に拡充すべき施策。複数年にわたる大規模な支援が求められるもの。
- (1)海賊版対策
- ① 海賊版対策の強化
- ② 複数ジャンルにまたがる啓蒙施策
- ③ 「STOP!海賊版」キャンペーンの強化
- (2)海外展開支援
- ① グローバル市場調査・情報提供体制の強化
- ② グローバル展開作品へのローカライズ費用の支援強化
- ③ 重点IP等の海外向けプロモーション支援強化
- (3)人材育成・生産性向上
- ① 教育機能の強化によるクリエイター人材の育成・確保
(高度専門人材・中核的専門人材等) - ② 地方在住クリエイターの活躍の場の創出
- ③ 制作現場のDX推進支援強化
- ① 教育機能の強化によるクリエイター人材の育成・確保
- (4)分野別
【マンガ】- ① 海賊版対策の強化(再掲)
- ② グローバル展開作品へのローカライズ費用の支援強化(再掲)
- ① スタジオに対する新人教育支援、リクルートイベント開催支援
- ② スタジオに対するデジタル技術投資、インフラ設備投資支援
- ③ 地方アニメスタジオ開設支援
- ① グローバルヒットを目指す新規ゲームタイトルの企画・初期開発支援強化
- ② グローバルヒットを目指す新規ゲームタイトルの制作支援強化
- ① 制作現場健全化のための支援
- ② ロケ誘致、国際共同製作に向けたインセンティブ強化
- ③ 大型スタジオ開発および既存スタジオへの設備投資支援
- ① 海外大型ライブツアー・フェス等イベントへの支援