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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年5月17日 No.3085 被災地のいま<4>
~経団連「社会貢献実践講座~災害被災地支援編」
-「愛知県被災者支援センター」に聞く
(実施日=2012年3月16日(事後研修)、場所=東京都千代田区)

東日本大震災から1年が経過した時点でも、7万2892名が岩手、宮城、福島の3県を出て47都道府県の1200以上の市町村で避難生活を送っている(3月14日復興庁発表)。そのうち約530世帯1200人が避難している愛知県では「被災者支援センター」を県が設置し、NPOが運営を担っており、東日本大震災による避難者と、その一日も早い生活再建を願う県民や企業を結ぶ懸け橋となっている。

避難者の多くは、目に見えず、匂いもない放射能の影響に危険と不安を感じて、自らの住居を離れて避難生活を送る人々であり、福島県以外からの自主避難者も含む。そうした人々は、家族が離散してしまい、故郷を離れた負い目を感じ、知らない土地で孤独を抱えて、ひっそりと暮らしている。

広域避難者見守り、つなぐ支援

愛知県のセンターでは、パーソナルサポート支援チームを立ち上げ、市町村による県内避難者の継続的な見守りや個別相談を支援している。個人情報保護の壁を克服すべく、県の被災者登録制度を活用して転入・転出を把握し、自治体やさまざまな組織・団体の情報を月2回の定期便として届けている。また、生活物資をコープあいちの配達網を活用して一軒一軒配付することで、避難者の困り事を把握し、必要な生活支援につなげている。さらに、ふるさと交流会を企画するなど、避難者同士の絆づくりにも力を入れている。弁護士による相談会、電話相談などのほか、医療・介護・障害、安全衛生、子育て・食育、税理士、社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー、就労支援、臨床心理士、こころの相談など、専門分野の協力者を得て活動を展開している。

広域避難者に対する公的支援は、受け入れる地方自治体に委ねられている部分が多く、取り組みに差が生じている。一方で、民間による取り組みは、広域避難者に寄り添った支援を提供しているものの、継続的な支援を考えた時に、その財源は厳しい。自主避難者も含む広域避難者を支えるために、国や地方自治体、民間の企業やNPOは何をすべきか。市民一人ひとりに何ができるのか。あらためて考えねばならない時期が来ている。

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