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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年5月24日 No.3086 「わが国の大学・大学院教育の改革に向けて」をテーマに説明聞く -中央教育審議会大学分科会臨時委員大学院部会・有信部会長から/産業技術委員会産学官連携推進部会

経団連の産業技術委員会産学官連携推進部会(永里善彦部会長)は9日、中央教育審議会大学分科会臨時委員大学院部会の有信睦弘部会長から、「わが国の大学・大学院教育の改革に向けて」をテーマに説明を聞いた。

有信氏はまず、わが国の社会経済の変化について説明。「人口減少と超高齢化が進むわが国において、成長を持続するためには、1人当たりの生産性の向上が不可欠」「わが国の大学進学率は上昇してきた(2009年時点で49%)が、OECD平均(59%)に比べて低い」「わが国の企業研究者に占める博士号取得者の割合は諸外国に比べて低く、博士号取得者が十分に活躍しているとは言えない状況にある」と述べた。

次に、有信氏は、世界の高等教育の質保証に関する動向について言及。「米国では、有力な大学が強みを生かして優秀な留学生を引き寄せる一方、連邦政府による質保証を強化している」「欧州では、『エラスムス計画』に基づき、域内の大学間交流を促進するとともに、高等教育の質保証と制度の共通化を図り、『欧州高等教育圏』の構築を推進している」「アジアでは、日中韓において、ASEAN等も視野に入れた『キャンパス・アジア』の形成を進めている」と説明した。

そのうえで有信氏は、わが国の高等教育の強化の重要性について指摘。まず大学院教育の実質化について、コースワーク(科目履修による学習)の充実・強化や、学生の質を保証する組織的な教育・研究指導体制の確立、優れた学生が大学院で学ぶための経済的支援の充実、産業界・地域社会等多様な社会部門と連携した人材養成機能の強化、博士号取得者の多様なキャリアパスの開拓等が必要と語った。

また、グローバル社会に対応するための大学院教育の確立に向け、「産学官の中核人材としてグローバルに活躍できる高度な人材を育成するため、5年間一貫した体系的な博士課程教育を確立することが重要」「『博士課程教育リーディングプログラム』により、俯瞰力と独創力を備え産学官にわたりグローバルに活躍できるリーダーの養成を推進している」と述べた。

最後に、有信氏は、大学・大学院におけるガバナンスの強化について、「独法化後も、大学・大学院に対しさまざまな制約が課せられているため、学長が大学・大学院経営を主導するのは難しい状況にある。大学・大学院のガバナンスの強化に向けた改革が必要」と指摘した。

【産業技術本部】

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