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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年9月13日 No.3100 宇宙開発利用推進委員会2012年度総会開催 -内閣府宇宙戦略室の取り組み聞き意見交換

経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)の2012年度総会を開催した。総会では、総会議件(11年度事業報告・収支決算および12年度事業計画・収支予算)の報告の後、今年7月に発足した内閣府宇宙戦略室の西本淳哉室長から同室の取り組みについて説明を聞いた。
概要は次のとおり。

◆ 西本室長講演

政府の宇宙開発戦略本部は内閣総理大臣が本部長となり、全閣僚で構成されている。わが国の宇宙政策の司令塔として、7月に設置された内閣府宇宙戦略室は同本部を補佐し、宇宙開発利用の基本的な政策に関する企画立案や総合調整を行う。8月17日には経費の見積もり方針を策定し、来年度の予算について各省に指示した。

7名の有識者で構成される宇宙政策委員会も新設された。年内に宇宙基本計画の見直しに向けた報告書を取りまとめ、来年1~2月に宇宙開発戦略本部が新たな宇宙基本計画を策定する予定である。これまでの宇宙政策は技術開発に重点が置かれてきたが、今後は宇宙利用の観点が重要であり、産業基盤の維持・発展とあわせて総合的にとらえなければいけない。

わが国の宇宙関係予算は約3千億円であり、これに対して米国は約4.5兆円、欧州は約7千億円である。また、わが国の宇宙機器産業の売り上げの91%を官需が占めるのに対し、欧州は官需が45%、民需および輸出が46%を占める。官需が伸びておらず、わが国の宇宙機器産業には外需の取り込みが不可欠である。昨年、わが国の企業がトルコから通信衛星2基を受注した。今後は、準天頂衛星システム(注)の海外展開が考えられる。

宇宙政策の基本として、国民生活の向上などに向けた宇宙利用の拡大、また、産業基盤の維持による国際競争力の確保などに向けた自律性の確保がある。国の宇宙外交や民間の国際展開などを踏まえた総合戦略が必要である。

(注)準天頂衛星システム=日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ衛星を複数機組み合わせた衛星システム。衛星が常に天頂方向にあるため、山や高層ビル等の影響を受けず、高精度の衛星測位サービスの提供が可能となる

<意見交換>

大宮英明副委員長が、衛星の打ち上げ基数や宇宙関連予算の充実、次世代のロケット開発について新たな宇宙基本計画に明記するよう求めた。西本室長は、H-2Aロケットの民間への移管を例に挙げて、「基本的には民間がベースとなり、国は環境整備を行うべきである」と答えた。

◇◇◇

総会終了後、懇親会が開催され、宇宙開発利用推進委員会のメンバー、国会議員、政府関係者、有識者など約150名が参加した。

【産業技術本部】

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