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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年11月1日 No.3107 日本型「高大接続」転換の必要性や大学入試のあり方について聞く -教育問題委員会企画部会

経団連は10月15日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、佐々木隆生・北星学園大学教授(北海道大学名誉教授)から、日本型の高大接続(注)を転換する必要性や大学入試のあり方について説明を聞くとともに懇談した。佐々木教授は、中央教育審議会の答申を受けて実施された日本型高大接続に関する文部科学省委託調査の研究代表を務め、2010年9月に高大接続テストの導入を求める報告書を公表している。説明の概要は次のとおり。

■ 機能不全に陥った日本型の高大接続

冒頭、佐々木教授は、「日本の大学進学率は50%強で、他のアジア諸国に比べても低い状況にあるにもかかわらず、日本型の高大接続は機能不全に陥っている」と述べ、転換の必要性を指摘した。その理由として、「高大接続は、大学進学に必要な教育を実施し、高校修了時の学力を把握する『教育接続』と、大学側が受け入れる学生を選抜する『選抜接続』の二つの要素から成る」が、「戦後、学校教育法が大学入学資格となる高校の卒業資格の認定を高校長に委ねた」ため、「教育接続に必要な学力把握は、専ら大学の入学試験に依存することとなった」と説明した。そして制度を維持できた理由として、「大学進学者が少なく、勉学意欲の強い学生だけが進学する構造」や、「小学校から始まる普通教育を高校で完成させるという理念に基づき、普通高校ですべての基礎的教科や科目の履修が義務付けられていた」ことを指摘した。

しかし、「高校進学率が飛躍的に上昇した結果、高校の種類が多様化し、高校の教育課程も弾力化され必修科目の削減や選択科目の増加が行われた結果、高校をもって普通教育を完成させるという理念は放棄され、教育接続が劣化した」「近年の少子化に伴うAO入試などの非学力入試や少数科目入試の拡大などにより、大学入試の選抜機能も低下したため、高校による普通教育の完成と大学入試による選抜機能に依存してきた日本型の高大接続は機能しなくなっている」と現状を説明した。

■ 「高大接続テスト」導入による転換

このような状況を打開するため佐々木教授は、「高校における普通教育を再建するとともに、大学入試による選抜機能の限界を克服するため、客観的な学力把握を可能とする共通テストである『高大接続テスト』の導入が必要である」との考えを示した。

最後に佐々木教授は、「高大接続テストを基盤に、高校の学習指導要領の見直しや大学入試制度の改革などの種々の改革を行うべきであり、先送りは許されない」として文部科学省の対応や経済界の理解・協力を求めた。

高大接続テストの基本的性格
  1. 普通教育の基幹をなす基礎的教科、科目についてのテスト
  2. 集団準拠ではなく、目標準拠による学習の達成度を測るテスト
  3. 基礎的教科・科目の教科書に基づく標準的問題を出題
  4. 1回限りではなく、複数回受験によって目標達成を促すテスト

(注)高校段階の教育と大学段階の教育の接続の仕方のこと

【社会広報本部】

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