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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年11月22日 No.3110 新たな宇宙基本計画に向け提言 -産業界の考えを取りまとめ

経団連は20日、「新たな宇宙基本計画に向けた提言」を公表した。今年7月に内閣府に宇宙戦略室が発足し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の見直しが行われるなど、宇宙政策に関する政府の推進体制が整備された。今後政府は、2013年度以降の5年間を対象とする新たな宇宙基本計画を策定する。こうした進展を踏まえ、産業界の考えを取りまとめた。概要は次のとおり。

■ 新たな宇宙基本計画の意義

第一に、今年6月の内閣府設置法とJAXA法改正によりJAXAが取り組めるようになった、宇宙産業の振興および安全保障分野における宇宙開発利用の推進について、宇宙基本計画の最重要項目と位置付けるべきである。

第二に、衛星やロケットなどで構成される宇宙インフラの構築と維持は国の責務である。また、安全・安心の確保などに向けた宇宙利用を推進すべきである。

第三に、宇宙外交を推進し、発展途上国に技術支援を行うとともに、先進国とは共同プロジェクトを実施すべきである。

■ 重要分野における推進方策

重要分野における推進方策として、第一に、衛星やロケットの長期間調達の確立や技術開発等による宇宙産業の基盤整備が求められる。第二に、衛星のデータを継続的に利用できるようにするなど宇宙利用を開拓すべきである。第三に、厳しい国際情勢を踏まえ、安全保障分野における宇宙利用を推進すべきである。第四に、東日本大震災の被害を踏まえ、衛星を用いた防災・減災インフラの構築が求められる。

■ 推進体制の強化

政府においては、新たな宇宙基本計画の着実な実施に向け、宇宙開発戦略本部が司令塔機能を発揮して、関係省庁の施策の総合調整や適正予算の確保を図ることが求められる。JAXAについては、産業振興や安全保障分野への取り組みのための中期目標と中期計画を策定し、着実に実施すべきである。また、官民が連携を強化して研究開発や利用を推進するとともに、宇宙システムのパッケージインフラの輸出に取り組むべきである。

あわせて、宇宙関連法制の整備や宇宙産業における人材育成が求められる。

宇宙開発利用の重要プログラム
主要分野具体的取り組み
観測公共リモートセンシング(注)衛星の整備、観測衛星の継続性の確保
測位準天頂衛星の7機体制の迅速な整備、次世代システムの検討、海外展開の推進
通信・放送次世代の高度情報衛星通信の技術開発、データ中継機能の強化
安全保障情報収集衛星や早期警戒衛星などの開発、海洋・宇宙状況監視システムの構築
エネルギー宇宙太陽光発電システム実験衛星等によるエネルギー伝送技術の開発
有人宇宙活動国際宇宙ステーションの利用促進、宇宙ステーション補給機の機能向上
宇宙科学天文観測や月・惑星探査の実施、小惑星探査機や小型科学衛星の開発
スペースデブリ
(宇宙ゴミ)対策
国際的な法制度の整備、宇宙の環境保全に貢献するシステムの開発
輸送H-IIAとH-IIBの安定的な運用と次期基幹ロケットの開発、小型ロケットの開発
射場等射場や地上設備などのインフラの整備
(注)リモートセンシング:衛星等により、離れた場所から対象物の特徴、性質、状態などを観測する技術

【産業技術本部】

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