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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年12月20日 No.3113 「今後の年金制度のあり方」で説明を聞く -社会保障委員会

経団連の社会保障委員会(斎藤勝利委員長、鈴木茂晴共同委員長)は11月30日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省の香取照幸年金局長から、「今後の年金制度のあり方」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

1.人口減少社会日本の課題

わが国の人口構造の変化をみると、現在1人の高齢者を2.6人の現役世代で支えているが、2060年には1人の高齢者を1.2人で支える構造になると想定される。社会保障制度のみならず、社会経済全体の持続可能性を確保するうえで重要なことは、総人口に占める就業者数割合を確保することである。経済成長を実現し、女性や高齢者の労働参加を進めなければ、就業者数割合は2030年には46.8%に低下、日本経済を維持し、子どもと老人を支えることが難しくなる。

また、今後の社会保障の支出増の多くは、75歳以上人口の増加に伴う医療・介護費が占める見込みである。高齢者の医療・介護には何らかのかたちでのサービス提供が必要であり、特に都市部の高齢者人口の増加への対応が重要である。

2.社会保障・税一体改革と年金制度改革

わが国の年金制度は2004年に大改正が行われ、経済成長率や出生率に応じて年金額を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)の導入や、上限を固定したうえでの保険料の引き上げなどが行われたことで長期的に持続可能な仕組みとなっている。

年金制度にとって、経済成長や出生率は与件であり、経済の身の丈を超える制度にはできない。どのような財政方式や財源構成であっても、現役世代と高齢者の間で給付と負担のバランスを調整する必要がある。

今後のマクロ的な課題は、持続可能性をより強固にすることである。社会保障・税一体改革では、本来あるべき水準より2.5%高い現在の年金額を、来年度から2015年度の3年間で引き下げることとなった。今後は、デフレ下でのマクロ経済スライドの発動を可能にする検討を行う必要がある。また、最後は国民の選択になるが、雇用環境を整えたうえでの支給開始年齢の引き上げも検討する必要がある。

社会経済の状況が大きく変わるなかで、ミクロの視点から年金制度をみると、非正規雇用の働き方が増えて厚生年金に入れず、老後の所得保障の面で予測可能性が下がっている。保障のウイングを広げて、働き方やライフコースに中立的な制度を確立するため、短時間労働者への厚生年金の適用拡大などが必要である。

3.厚生年金基金制度の現状と課題

企業年金の一つである厚生年金基金は、運用環境の悪化等により厳しい財政状況が続いており、保有資産が国から預かった代行部分の給付に必要な額に満たない「代行割れ」基金が増加している。代行割れ基金は成熟度が高く、中小企業が集まる総合型に集中しており、地域の雇用・経済でのプレゼンスもあることから、問題解決を難しくしている。

厚労省は11月2日、代行割れ基金の早期解散の促進、10年間での制度廃止等を盛り込んだ改革試案を公表した。現在、この試案をベースに専門委員会で検討を進めているが、代行制度の持続可能性をどう見極めるかが焦点の一つとなっている。

【経済政策本部】

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