Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月1日 No.3114  スポーツ振興・普及に向けた取り組みと経済界への期待聞く -教育問題委員会

説明する日本体育協会の張会長(左)と岡崎専務理事

経団連は12月7日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会(川村隆委員長)を開催し、日本体育協会の張富士夫会長ならびに岡崎助一専務理事から、スポーツ振興・普及に向けた同協会の取り組みと経済界への期待について聞くとともに懇談した。

経団連では、次世代の人材育成に寄与するスポーツを総合的に支援していく観点から、教育問題委員会の下に「スポーツ推進部会」(鍛治舍巧部会長)を新設し、スポーツを通じた人材育成や、スポーツ推進に向けた企業の取り組みなどについて検討することとしている。

■ 日本の国全体のため、経済界全体でスポーツを支える

冒頭、張日本体育協会会長は、「高齢・長寿社会を迎えた日本にとって、スポーツを通じて国民が健康になることは、医療費や介護費の削減につながり、国全体のためにもなる」として、経済界全体でスポーツを支えることの重要性を指摘した。

また、「スポーツ選手は礼儀正しさや人づきあいの良さ、向上心など企業人として評価される素質を多く備えており、企業にとって貴重な戦力となる」として、スポーツ選手の採用と育成に向けた協力を求めた。さらに、「スポーツ界は2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致に一丸となって取り組んでおり、企業も招致活動の一段の盛り上げに力を貸してほしい」と要請した。

■ 「生涯スポーツ社会」の実現から「スポーツ立国」へ

続いて、同協会の岡崎専務理事から、協会の設立経緯や現在の活動目的等について説明があった。活動目的としては、「わが国、国民スポーツの統一組織として、スポーツ振興に努めること」を基本理念として「生涯スポーツ社会の実現」(図表1参照)を挙げた。そのうえで、「協会の創立100周年事業として『スポーツ宣言日本』を制定し、『スポーツ立国』実現の観点からスポーツの三つの使命(図表2参照)を明示した」ことを説明。「今後は、現行の生涯スポーツ社会の実現からスポーツ立国日本の実現へ、スポーツ振興に向けた取り組みを進化・拡充していくことが課題である」と述べた。

最後に、経済界への期待としては「協会が実施する国民体育大会や日本スポーツマスターズの運営に対する協力、地域の総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団の活動への協力などを社会貢献活動と位置付け推進すること」や、スポーツ界の充実・発展に向けて、「競技者が安心して練習や試合に臨めるよう、スポーツ選手を契約社員としてではなく正社員として採用することや、セカンドキャリアとして指導者を望む社員への支援」のほか、「都道府県の体育協会等と連携し、企業経営の観点から、地域スポーツ組織の運営等に関して、指導・助言をお願いしたい」と述べ、経済界の理解と協力を求めた。

図表1 生涯スポーツ社会の実現
  1. 国民が主体的にスポーツ文化を享受するライフスタイルを形成
  2. 国民の50%以上が週1回以上の継続的なスポーツ活動を実践
  3. 地域スポーツクラブへの加入率が概ね30%程度
  4. スポーツへの多様な関わりが主体的に行われている
  5. スポーツが新しい地域社会の構築に貢献

図表2 スポーツの3つの基本的使命
  1. スポーツによる福祉豊かな地域社会の創造
  2. スポーツによる環境と共生するライフスタイルの創造
  3. スポーツによる平和と友好に満ちた世界の構築

【社会広報本部】