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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月24日 No.3116 2013年版経労委報告を公表 -活力ある未来に向けて~労使一体となって危機に立ち向かう

会見で説明する宮原副会長
・経営労働政策委員長

経団連(米倉弘昌会長)は22日、2013年版経営労働政策委員会報告(経労委報告)を公表した。副題を「活力ある未来に向けて~労使一体となって危機に立ち向かう」とし、第1章「一段と厳しさを増す国内事業活動と現状打開への道」、第2章「競争に打ち勝ち、成長を続けるための人材戦略」、第3章「今次労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢」の3章構成としている。主なポイントは次のとおり。

■ 悪化を続ける事業環境の早期改善に向けて

わが国企業を取り巻く事業環境は一層悪化しており、被災地の本格的な復興も程遠い状況にある。
エネルギー供給制約や、円高、産業の空洞化、日中関係の悪化などにより、貿易収支が急激に悪化し「貿易立国」としての地位も危ぶまれている。
事業環境の改善に向けた政策転換は急務であり、競争力強化のために、(1)円高の是正(2)経済連携の推進(3)法人の税負担の軽減(4)一層の社会保障制度改革(5)エネルギー・環境政策の転換(6)労働規制の見直し――を一気呵成に実施すべきである。
経団連としても、民主導によるさまざまな取り組みを通じて、日本経済の再生に中核的な役割を担っていく。

■ 競争に打ち勝ち、成長を続けるための人材戦略

グローバル展開がさらに加速するなか、自社の強みを活かしながら、不断に「変革」に取り組み、持続的な成長の実現を目指すことが望まれる。
こうしたなかグローバルに活躍する人材が一層求められており、将来の企業経営を中心的に担っていくことが期待される人材(中核人材)について、若手従業員、ミドルマネジャー、次世代経営幹部など、職務や職責の段階に応じた、適切な教育や経験を積ませる仕組みづくりが不可欠である。
また、多様な人材が活躍できるよう、ワーク・ライフ・バランスや、女性・高齢従業員の活躍推進、障害者の雇用促進などを、自社の状況にあわせて進めていくことも重要である。

■ 「労使パートナーシップ対話」の充実

労使が危機感を正しく共有し、課題解決型の話し合いである「労使パートナーシップ対話」を、自社の競争力強化に向けた労使共同の取り組みとして明確に位置付け、中長期的な視点から建設的な議論を尽くしていくことが求められる。

■ 総額人件費に対する基本的考え方

総額人件費の原資である付加価値は著しく減少しており、その源泉も海外市場中心になりつつある。加えて、法定福利費の負担増加、定期昇給や改正高齢法に伴う影響など、総額人件費をさらに増加させかねない要因があることにも留意しなければならない。総額人件費管理の重要性は一層高まっている。

■ 2013年交渉・協議における経営側のスタンス

今次労使交渉・協議は、企業の存続と従業員の雇用の維持・安定を最優先する議論が中心となる。
賃金をはじめとする労働条件については、「個別企業労使」が自社の経営実態を踏まえて協議し、自社の支払能力に即して決定していく原則をあらためて徹底していくことが求められる。
賃金交渉においては、ベースアップを実施する余地はなく、賃金カーブの維持や定期昇給実施の取り扱いが主要な論点になる。危機的な経営状況にある企業においては、定期昇給の実施時期の延期や凍結について協議せざるを得ない可能性も出てこよう。制度自体の今日的意義や将来的な持続可能性などについても、通年の労使協議のなかで議論を尽くしていくべきである。
また、短期的かつ一時的な業績の変動があった場合には、賞与・一時金に反映させることを一層徹底していく必要がある。

■ 労働側スタンスへの見解

労働側は、1997年の現金給与総額の水準に戻す「賃金復元」論を主張し続けているが、現金給与総額は特別給与を含むため、経済動向や企業業績による変動が大きい。11年の所定内給与は97年比で1.0%増、所定外給与を含めた定期給与は同1.5%増と、特別給与を除く賃金は上昇している。また、デフレの進行によって実質賃金も大幅に上昇しており、賃金復元論は経済や企業の実態を無視したものと言わざるを得ない。
厳しい状況にある中小企業に対する1%の賃上げ要求も理解が得られない。

■ 労使コミュニケーションの強化

さまざまな労使コミュニケーションの機会を通じて相互理解や意思疎通を図り、課題解決に取り組んでいく日本の労使関係はかけがえのない財産であり、閉塞感が蔓延している今の日本だからこそ、労使が互いを尊重しながら、経済社会の持続的な繁栄に向けて、ひたむきに努力していくことが求められている。

【労働政策本部】

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