Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月24日 No.3116  昼食講演会シリーズ<第18回> -「グローバルリーダーを育てる」
/グロービス代表取締役 堀義人氏

経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で第18回昼食講演会を開催し、約90名の参加のもと、グロービスの堀義人代表取締役から「グローバルリーダーを育てる」と題した講演を聞いた。講演概要は次のとおり。

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世界で通用するグローバルリーダーには、リーダーに必要とされる普遍的な三つの資質に加え、さらに三つの追加的資質が求められる。

■ リーダーに必要な三つの普遍的な資質

リーダーに必要な資質は、「経営に関する知識」「意思決定能力」「人間関係能力」の三つである。

経営に関する知識は、マーケティングなど「経営」という知的ゲームに勝つために必要な“定石”であり、定石を学ばずして、経営で勝つことはできない。意思決定能力は、状況を的確に判断し、最適な方向へと意思決定する力、人間関係能力とは、言葉を通して人を巻き込み、多くの人を引っ張る力である。

■ グローバルリーダーに必要な三つの追加的資質

世界で通用するリーダーにはさらに、「英語力」「国際的視野」「異文化コミュニケーション力」の三つの資質が必要である。

英語力は、世界とコミュニケーションをとるうえで必須なものである。国際的視野とは、マクロ的視点で世界情勢をとらえながら、国ごとの政治・法制・文化・歴史・宗教・地政学的リスクなどを頭の中でマッピングし、どの市場をねらい、どこに工場を建てるか等を意思決定するために必要な資質である。異文化コミュニケーション力とは、価値観の差異を認識したうえで、適切な姿勢・考え方で相互理解を図り、信頼関係を構築する力である。実は、異文化コミュニケーション力の方が英語力の上達よりも難しく、この資質の欠如により、多くの組織でトラブルが起こっていると認識している。

グローバルリーダーに必要な三つの資質があっても、リーダーとして必要な普遍的資質が低ければ、適切な意思決定ができずに失敗する。一方、リーダーに必要な普遍的資質があれば、追加的資質を適度に補足することで、ある程度の成功を納めることはできる。したがって、グローバルリーダーの育成では、普遍的資質の修得に重点を置きつつ、追加的な資質を同時に修得することが正しい育成手法と考えている。

そしてグローバルリーダーを育成するには、厳しい経営判断が求められる事例について、自らが経営者の立場で意思決定するケースメソッドによってのみ、力を養うことができると考えている。いわゆる経営の疑似体験による徹底した意思決定の訓練が、有用である。

最近は、英語を使ったグローバル研修を多く取り入れて、英語力、国際的視野、異文化コミュニケーション力を総合的に高めることを支援している。グローバルリーダーを数多く輩出し、日本企業の成長に寄与していきたい。

【総務本部】

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