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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月28日 No.3121 「わが国財政の現状と今後の課題」を聞く -財務省主計局・小宮調査課長と泉公会計室長から/財政制度委員会企画部会

経団連の財政制度委員会企画部会(松井伸介部会長)は15日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、財務省主計局の小宮義之調査課長と泉潤一公会計室長から、「わが国財政の現状と今後の課題」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

(1)わが国財政の現状

国の一般会計では、昭和50年度以降、ほぼ一貫して歳出が税収を上回っている。バブル期の数年間のみ、両者の差は縮小したが、その後は歳出が増大する一方、税収は減少し、両者の差はいわゆる「ワニ口」のように開いている。増大する歳出を賄うため、バブル期の平成2~5年度を除き、毎年特例公債を発行している。この結果、平成24年度の政府債務残高の対名目GDP比は、戦前の最高レベルを超えるまで累増する極めて厳しい状況に追い込まれている。今のところ、主要格付け会社に日本国債の格下げを行う動きはないが、政府の財政健全化に対するコミットメントをしっかり見ている状況である。

国債をめぐっては、保有割合の多くを国内の金融機関が占めているが、流通市場では海外投資家の存在感は相当大きい。日本の財政健全化のペースは主要先進国に比べて緩やかだが、今後さらに緩めることになれば、日本の財政運営に対する国際社会や市場の信頼を損なうおそれがある。仮に何かをきっかけに金利が上昇すれば、金融機関のバランスシートを毀損し、貸し渋り等を通じて実体経済に波及することで、「財政危機=金融危機=経済危機」となる懸念がある。

(2)平成24年度補正予算

「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の三つを重点分野とした。大規模プロジェクトよりも老朽化したインフラの補修など、早期に執行可能で効果が発現する施策とともに、電気自動車のインフラ整備など潜在需要を早期に顕在化させ市場拡大につながる施策を盛り込んでいる。

(3)平成25年度予算

前記補正予算とあわせた「15カ月予算」の考えの下、補正予算と同じ3分野に重点化しつつ、平成24年度予算より引き締まった中身とし、実体ベースでも歳出規模を0.3兆円減額することで財政健全化目標に向けた第一歩を踏み出した。個別の歳出では生活保護費・公務員人件費の適正化・見直し、「15カ月予算」の考えを踏まえた経済危機対応の予備費計上の見送りなどの重点化・効率化を図った。歳入面では4年ぶりに税収が公債金収入を上回り、国の一般会計ベースでのプライマリーバランス赤字も前年度から1.7兆円改善し、23.2兆円となる見込みである。

(4)国の財務書類について

発生主義・複式簿記といった企業会計の考え方・手法を参考として、平成15年度決算分から作成・公表している。公表の早期化を進めており、平成23年度決算分は翌年度1月(今年1月)に公表した。平成23年度末の国の貸借対照表を見ると、資産側の大半は現金化できない道路・堤防等の有形固定資産や、将来の年金給付に充てるために保有している運用寄託金、国債等で資金を調達している地方公共団体や政策金融機関等への貸付金であり、かつて話題になった国の「埋蔵金」は払底していることがわかる。

【経済政策本部】

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