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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月14日 No.3123 「道州制の九州モデル」めぐり説明聞き意見交換 -市町村が主役の地域づくりや地方分権型国家の実現掲げる/道州制推進委員会

説明する大野九経連副会長

経団連(米倉弘昌会長)は6日、東京・大手町の経団連会館で道州制推進委員会(畔柳信雄委員長、松下雋共同委員長)を開催し、九州経済連合会の大野芳雄副会長から、「道州制の九州モデル」について説明を聞くとともに懇談した。
大野副会長の説明は次のとおり。

九経連の大野副会長が説明

九州は「九州はひとつ」という理念のもと結束し、早くから道州制について熱心に議論してきた。九州地方知事会と九州の経済界の考えを一つのかたちにして前に進めるため、九州地域戦略会議に道州制の検討委員会を立ち上げ、2008年に「道州制の九州モデル」を取りまとめた。官民が一体となって提言をまとめたのは九州ぐらいであろう。

このモデルでは、道州制の目指すかたちや道州制の意義として、市町村が主役の地域づくり、地方分権型国家の実現等を掲げており、経団連の考え方と基本的に一致しているものと認識している。また、国・道州・市町村の役割分担ということでは、(1)国の役割は法律で限定し、国の関与は基本的事項を示すにとどめる(2)道州の役割は道州の条例で定め、それ以外は市町村の役割とする(3)道州の区域を超える広域事務は、道州が連携して対処する――などの点を示した。

全国的な統一性の確保に関しては原則、地方が担うこととするが、公的年金、医療保険、生活保護は全国一律の水準を確保するうえで配慮が必要としている。

国の機能を絞る一方、地域の自律性を確保するためには、税財源配分を変えなくてはならない。そこで、現行税制を前提に、道州制下での税財政制度・財源配分の方向性を示している。具体的には、道州の基幹税には消費税、市町村の基幹税には住民税と固定資産税を充てるとともに、財政調整の原資として、法人税、法人住民税などによる地方共同財源を設けることとした。このような配分の見直しにより、国税と地方税の比率は現行の6対4から2対8になる。これはドラスティックな数字で、さまざまな議論を喚起するだろう。

道州制の九州モデルを取りまとめた後、09年6月には、「九州が目指す姿、将来ビジョン」「住民及び国の関心を高めるためのPR戦略」を策定している。このなかで、今後の課題として、(1)基礎自治体・道州の具体的な組織・機能のあり方(2)地方の自立を推進する税財政制度のあり方(3)国の長期債務の取り扱い(4)道州内の地域間格差の拡大に対する懸念への対応――などを挙げている。

今後、九経連としても、道州制の実現に向けたアクションを起こすとともに、経団連とも連携しながら、シンポジウムなどを通じた国民世論の喚起に取り組むとともに、中央および地方政府への働きかけを行っていく。

◇◇◇

当日は、道州制の実現に向けて早期に取り組むべき項目をまとめた「道州制実現に向けた緊急提言(案)」を審議、了承した。

【産業政策本部】

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