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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月21日 No.3124 高齢者の快適な生活実現へ -高齢社会対応部会

経団連は2月27日、東京・大手町の経団連会館で、都市・地域政策委員会・住宅政策委員会共管の高齢社会対応部会(渡邊大樹部会長)を開催した。パナソニック(説明者=ヘルスケア社の和久定信グループマネージャー)およびユニ・チャーム(説明者=排泄ケア研究所の船津良夫主席研究員)から、高齢者の快適な生活の実現に向けた取り組みについて説明を聞いた。
概要は次のとおり。

パナソニックの取り組み

グループ会社を含め、介護保険導入前の1998年から高齢化対応「エイジフリー事業」として取り組んでいる。バリアフリー、ストレスフリー、ケアフリーの三つのコンセプトを軸に、介護機器・設備等の商品分野から在宅・施設での介護サービス分野まで幅広くカバーしている。

「パナソニック エイジフリー介護チェーン」FC事業は当社独自の取り組みで、全国に現在114店を展開している。同ショップでは、用品販売・レンタルとともに住宅改修に特に力を入れており、住み慣れた家での介護生活を実現すべく、お客様の身体状況と生活ニーズに沿い、専門的見地から提案を行っている。これまで、ナショナルの家電ショップを通じて、地域のお客様に生活を便利にする商品を提供してきたが、パナソニックの介護ショップも同様に、地域に根ざした最適なサービスの提供を標榜していく。

介護サービス分野では当初からISO品質マネジメントシステムを整備し、介護付有料老人ホーム、訪問介護、デイサービス、サービス付き高齢者向け住宅事業と順に事業を拡大している。介護機器の分野では、介護現場のノウハウを生かしたリハビリ機器「デジタルミラー」を昨年発売し、医療機関や介護施設で評価を得ている。

今後は、商品・サービス両分野の相互連携により高品質な事業展開を目指すとともに、他事業者や社外専門家とも連携し、介護業界全体の底上げと産業化を目指していく。

ユニ・チャームの取り組み

当社では、加齢に伴って多発する老年症候群のうち、特に後期高齢者の頻尿や尿失禁等の病気に注目している。例えば、要介護度4~5の介護保険適応施設入居者のうち5~8割が排泄障害によって日常的に紙おむつを必要としているが、85歳以上の高齢者をこれだけ抱えている国はほかに存在せず、北欧諸国でも経験のない福祉を日本が初めて切り拓いていくことになる。排泄障害への対応は介護のカギになる。

現在、250万人が日常的に紙おむつを使用しているが、過活動膀胱の罹患者は830万人もいる。一方で、泌尿器科医数は8000人弱と内科医数の10分の1以下であり、そのなかで専門的に高齢者の排尿障害を治療している医師は約1000人しかいない。専門医の不足もあってさまざまなトラブルが生じており、医療と介護が連携して適切なケアを組み立てていくことが大きな課題となっている。こうしたなか、2010年に大人用紙おむつが子ども用紙おむつの市場規模を上回り、2012年には約1700億円に成長している。排泄障害の増加とケアの未確立によって、介護の現場では紙おむつに頼らざるを得ない現状がある。

排泄障害は羞恥心を伴うので、自己嫌悪や社会関係からの排除という悪循環に陥るが、その克服は高齢者が社会に戻るための手段である。自立排泄は人間復権への挑戦といえる。ただし、おむつは自立を支援もするし、妨げもするため、製品機能の向上だけでなく、介護の進化が必要になる。同時に、障害のあるがままの姿を受け入れて、健康な人たちと一緒に生活できる社会をつくるというノーマライゼーションの実現に向けて、本人の努力を家族や地域社会が支え、各分野の専門職が連携する環境整備も必要である。

【産業政策本部】

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