経団連は15日、東京・大手町の経団連会館で石原伸晃環境大臣との懇談会を開催した。環境省からは石原大臣、田中和徳副大臣、井上信治副大臣、齋藤健大臣政務官、秋野公造大臣政務官らが、経団連からは米倉会長、副会長、審議員会副議長らが出席した。
冒頭、米倉弘昌会長は、わが国経済にようやく明るさが見え始めており、この変化を本格的な経済再生につなげるためには成長戦略を着実かつスピーディーに実行することが必要と指摘。環境分野では、環境保全と経済成長の両立を可能にするバランスの取れた政策を推進することが重要であり、とりわけ温暖化対策に関しては、産業界の主体的な取り組みである「経団連低炭素社会実行計画」を後押しするよう求めた。
続いて石原大臣が、「米倉会長が指摘されたように、環境と経済は相反するものではない。経済界との連携を強めて環境行政を進めていきたい」としたうえで、地球温暖化に関して「日本企業の技術を通じて、途上国の温室効果ガス削減を進めるために、二国間での取り組みも進めていきたい」と述べた。また、循環型社会の形成や生物多様性の保護に向けても協力を進めていく旨発言した。
■ 意見交換
意見交換では、経団連側から、低炭素社会実行計画を政府の温暖化対策の柱に位置付けることや二国間オフセット・メカニズム(注)の推進に取り組むこと、企業が廃棄物や資源の有効利用に取り組みやすい環境を整備することを求めるとともに、今後もNGOの自然保護プロジェクトの支援や企業とNGOの交流を継続していく方針を説明した。
また、現実的なエネルギー政策と表裏一体で責任ある温暖化対策を策定することが極めて重要であること、石炭火力発電の建設に関し環境アセスメントの段階で不可能な技術レベルを求められると予見可能性を確保できないこと、二国間オフセット・メカニズムの推進に向け、ODA等資金面での支援などが求められること等の発言があった。
これに対し環境省側から、温暖化に関しては、「日本の産業界が世界一の取り組みをして、素晴らしい成果を収めていることは世界が認めている」「(90年比)マイナス25%目標を掲げたことは大問題だった」「COP19に向けて知恵を絞り、産業界ともしっかりと議論しながら検討していきたい」と発言。また、循環型社会の形成に関する経団連の指摘に対しては「しっかりと受け止めて取り組む」、自然保護に関しては「予算確保に取り組んでレッドリスト(絶滅のおそれのある野生動物のリスト)を充実させたい」との発言があった。
また、石原大臣からは、「二国間オフセットに関しては政府としても支援したい」「石炭火力の環境アセスメントにも柔軟に取り組んでいきたい」と、経団連側の意見に理解を示す発言があった。
(注)二国間オフセット・メカニズム=二国間協議のもとで、技術移転の結果として実現した排出削減の一部をわが国の貢献分として評価する仕組み
【環境本部】