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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年4月25日 No.3129 税関の国際的支援の取り組みを聞く -途上国税関への技術支援拡充、日本企業の海外展開を支援/運輸委員会

経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で、運輸委員会(宮原耕治委員長、瀬戸薫共同委員長)を開催し、財務省関税局から、日本企業のグローバル・サプライチェーン展開を踏まえた税関の国際的支援について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ 税関の使命

税関の使命は、大きく分けて三つある。第一は、「適正かつ公平な関税等の徴収」である。2011年度の税関における関税・消費税等の収納額は5.6兆円と、国全体の租税収入等の1割を超える水準にある。消費税率の引き上げにより、税関における収納額は今後さらに増加していくと見込まれており、税関は国の重要な徴収機関という位置づけである。

第二は、「国民の安全・安心の確保」である。税関における不正薬物の押収量は、国内の押収量全体の8割程度を占めている。税関は、社会悪物品の密輸を水際で防ぐ重要な役割を担っている。

第三は、「貿易円滑化の推進」である。NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)をベースに、輸出入等関連業務の電子化やペーパーレス化を進めているほか、通関手続の簡素化や、AEO(認定事業者)制度の普及、利用促進に取り組んでいる。

■ 税関の国際的支援

これまで税関は国内の貿易円滑化を中心に進めてきたが、今後は貿易相手国における貿易円滑化にも取り組んでいく。今年1月に閣議決定された日本経済再生に向けた緊急経済対策において、「日本企業の海外展開の支援等によりグローバル経済の成長力を日本に取り込む」との考えが示されており、税関分野については「税関分野の技術支援等を通じた、途上国税関の貿易関連制度・環境の近代化・高度化」に取り組んでいくことが盛り込まれている。

すでに、JICA(国際協力機構)を通じて税関職員をアジアやアフリカの途上国に長期派遣し、当該国の税関近代化のサポートを行っている。こうした取り組みを通じ、アジア諸国と日本の間に切れ目のない物流が実現することを目指している。

また、わが国においてもEPA(経済連携協定)を拡大しているところだが、EPAのメリットを享受するためには、原産地規則や関税評価、関税分類等に関する正確な知識を備えておくことが必要となる。税関では、説明会の開催などによって、企業がEPAを使いこなすための支援を行っているほか、企業からのヒアリング等を通じて途上国等の税関における問題を把握し、WCO(世界税関機構)への働きかけなどにより、これらの問題を改善するように取り組んでいる。

海外に長期派遣している税関職員は、派遣先国の立場に立って技術支援を行っているが、今後は、日本企業の海外展開支援という視点を従来以上に持って取り組むこととしている。具体的には、現地のJETRO(日本貿易振興機構)事務所等と連携して、海外に進出している日本企業が直面する課題や要望を把握するとともに、最新の通関事情や問題を改善する方法の提供を行い、加えて、技術協力を通じて相手国の通関制度等の改善を図っていきたい。この取り組みは、日本企業に共通する課題について外国の税関の構造的な問題の是正を目指し、中長期的視点での効果を期待するものである。

すでに今年4月から試験的に取り組みを開始しており、7月からは東南アジア8カ国で本格的に実施する予定である。税関が持っているノウハウを活用し、日本企業の支援に取り組んでいく。

【産業政策本部】

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