経団連の米倉弘昌会長は14日開催の幹事会で、4月19日に首相官邸で行われた安倍晋三首相との会合(4月25日号既報)における経済界への要請を受け、会員企業へ協力を呼びかけた。全文は次のとおり。
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去る4月19日に安倍総理より、若者や女性が活躍できる社会の実現を図っていくため、3点の要請がありました。
1点目は、平成27年度卒業・修了予定者の採用選考活動から、広報活動の開始時期を学部3年生の3月以降に、また、選考活動の開始時期を学部4年生の8月以降に、それぞれ後ろ倒しすることであります。2点目は、仕事と子育ての両立を支援するために、子どもが3歳になるまでの間、男女とも育児休業の取得や短時間勤務ができるようにすることであります。そして3点目は、指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%程度とする政府目標の達成に向け、全上場企業が積極的に役員や管理職に女性を登用することとし、まずは、役員のうち一人は女性を起用することであります。
こうした要請に対し、私からは次のように申し上げました。
採用選考活動の後ろ倒しにつきましては、会員企業への周知を図ることをお伝えしたうえで、大学側には学生の学業の実を一層上げるよう努めていただきたいこと、また政府には、就職先が決まらないまま卒業する学生が増加することのないよう万全の対策を講じることをお願いいたしました。
企業における女性のキャリアアップ・登用につきましては、会員各社に一層の努力を呼びかけていく旨申し上げるとともに、喫緊の課題である待機児童の早期解消に向け、民間活力を積極的に活用し保育サービスの整備・拡充を推進していただくよう要望いたしました。
今後の経団連の対応といたしましては、まず、「採用選考に関する企業の倫理憲章」の内容を改定したいと考えており、早期に雇用委員会で検討してまいります。
女性のキャリアアップ・積極登用につきましては、すでに各社で取り組まれていることと存じますが、経営トップの強い意志のもと、さらなる取り組みを積極的に進めていただきますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。経団連といたしましても、先進事例を収集し、会員の皆さまと共有していくなど、さまざまなかたちでご支援申し上げたいと考えております。