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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月16日 No.3130 早稲田大学のグローバル人材育成に向けた取り組みを鎌田総長から聞く -教育問題委員会

講演する鎌田総長

経団連は4月22日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会(川村隆委員長)を開催し、早稲田大学の鎌田薫総長から、同大学のグローバル人材育成に向けた取り組みについて聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ グローバル人材育成に向けた取り組みの強化

早稲田大学は、創立150周年を迎える2032年に向け、「WASEDA Vision 150」を昨年発表したが、その重点課題の一つが、語学力に加え幅広い教養を備えたグローバル人材の育成とそのための教育の充実である。すでに、外国語教育では4人の学生に1人の講師(ネイティブスピーカー)がつくプログラムを正規科目として導入した。また、論文などの文章力の向上のため、アカデミックライティングの専門知識を持つ講師が個別に指導・助言するライティング・センターを設けた。さらに、学部段階で論理的思考方法が身に付くよう、全学部共通の基盤・教養教育を取り入れ、特に数学、統計、情報処理などに注力している。加えて、学部生全員の海外留学を目標に掲げ、スケジュールが柔軟な留学プログラムの拡大、海外協定校との連携など、留学しやすい環境を整えている。

■ クォーター制を新たに導入

欧米など9月に新学年が始まる国では、6~8月にサマースクールが開かれ、夏休みを利用して短期留学する学生が多く、日本ではこの時期が授業や試験の最中であることが支障となっている。そこで早稲田大学では、海外のアカデミックカレンダーに柔軟に対応するため、1年度を四つの期間に分ける「クォーター制」を導入した。これによって、日本人学生の海外留学や海外からの留学生受け入れが一層活発になるだろう。

■ 経済界への期待

海外からの留学生受け入れは、日本人学生の国際感覚を養ううえでも有意義である。早稲田大学への留学生は近年大幅に増加しているが、優秀な留学生を受け入れるには、「日本に来て本当に良かった」と感じられる教育・研究施設や生活環境を整えることが重要である。こうした面で経済界からの支援を仰ぎたい。

米国では、「優秀な移民を受け入れて人口を増やし、国の活力を向上させる」観点から、留学生の獲得、企業による優先的な採用、そして国籍の付与・新興国への送り出しなどを戦略的に進めている。人口減少をまぬがれることのできない日本も国家戦略の視点に立って、留学生の受け入れ、さらには大学の国際化を考えなければならない。

【社会広報本部】

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