Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年6月20日 No.3135  関西会員懇談会を開催 -「決断と実行による日本の再生」テーマに

経団連は12日、大阪市内で関西会員懇談会を開催した。懇談会には、米倉弘昌会長はじめ渡文明審議員会議長、副会長、関西地区の会員企業代表者約350名が出席し、日本が競争力を強化し、成長を実現するために取り組むべき課題について懇談した。

開会あいさつで米倉会長は、ようやく好転の兆しを見せ始めているわが国経済を民主導による持続的かつ力強い成長につなげるために、経団連として、(1)大胆な規制・制度改革の推進(2)諸外国との経済連携の推進と経済外交の強化(3)イノベーションによる新たな成長の機会の創出――の3点の重要課題に最優先で取り組むとした。

続いて4日の定時総会で選任された内山田竹志副会長、佐々木則夫副会長が新任あいさつで抱負を語った。

■ 活動報告

第1部の活動報告では小島順彦副会長が、民間企業の活動を積極的に後押しする政府の成長戦略を着実に実行するべきと主張。国際的な事業環境のイコールフッティングを実現する基盤整備、わが国が直面する課題の解決に資する産業・事業の育成・振興、新たな財・サービスを生み出す規制改革が必要と述べた。

渡審議員会議長は、わが国の成長の源泉である科学技術を国家の重要戦略と位置付け、強力な推進策を講じる必要があると述べ、科学技術イノベーション政策の推進に関する経団連の考え方を説明した。

宮原耕治副会長は、わが国の国際競争力を強化するため、企業ニーズやモノの流れに沿ったかたちで物流の環境整備を行うべきと述べ、当面の5年間で集中的に取り組むべき施策と中長期的に取り組むべき施策を示した。

畔柳信雄副会長は、国内市場が縮小するなか、新興国の需要を獲得することが中小企業の発展にとって不可欠と指摘。わが国中小企業がアジア地域へ海外展開する際に直面する課題と求められる対応について報告した。

勝俣宣夫副会長は、通商戦略について、新興国や途上国を中心とした保護主義の高まりや新たなビジネスモデルの登場などにより、既存の通商ルールでは十分に対応できない状況が拡大するなか、わが国としてグローバル・ルールづくりを主導する攻めの姿勢に転換する必要があるとの考えを示した。

石原邦夫副会長は、財政健全化のための具体的な方策として、成長力強化と消費税率の着実な引き上げ、財政健全化目標を達成する道筋の明確化、歳出抑制・効率化に向けた継続的な取り組み、予算から決算に至るPDCAの改善を挙げるとともに、民主導の持続的な経済成長を実現することで、政府の財政再建への取り組みを後押しするとの考えを示した。

三浦惺副会長は、職務発明制度の見直しや知財課税を軽減するパテントボックス税制の導入に向けて、政府・与党に引き続き働きかけていくことを報告した。

荻田伍副会長は、南海トラフ地震や新型インフルエンザなどのリスクが顕在化するなか、企業が事業活動の継続性を強化するために、企業・経済界に求められる取り組みと行政に求められる取り組みについて報告した。

斎藤勝利副会長は、出産・子育て期の就労継続を支援する観点から、保育環境を整備すべきと主張。そのための財源や民間活力の活用に関する考え方を示した。

奥正之副会長は、今国会に提出されている集団訴訟制度の創設に関する法案や独占禁止法の改正法案など、経済法制の動向について報告した。

■ 自由懇談

第2部の自由懇談では、関西地区を代表して京阪電気鉄道の加藤好文社長、ダイセルの小川大介会長が発言。

加藤氏は、都市の活力を向上させるためには、急激に高齢化している都心近接地域を再活性化することが急務と訴えた。

小川氏は、わが国の高いエネルギーコストや厳しい環境規制などを指摘し、事業環境の国際的なイコールフッティング実現のための経団連としての取り組みを求めた。

これらの発言に対し、中村芳夫副会長は、人口構造の変化ひいては社会のニーズの変化を前提とした街づくりが重要と述べ、高齢者世帯から若年世帯への代替わりを進めるとともに、高齢者が生き生きと生活できるまちづくりおよび高齢者向けの住宅・設備の整備を進めるべきとの考えを示した。

また、大宮英明副会長は、夏の電力需給に関し、安全性の確認された原子力発電所を供給力として確保すべきとするとともに、企業が国内での事業活動および雇用を維持できるようなエネルギー政策を策定することが不可欠とした。

<記者会見>

懇談会後の記者会見で、記者の質問を受けて米倉会長は、「電力は産業の動脈である。安全の確保と地元の理解を前提に、原子力発電所を再稼働すべきである」「原子力規制委員会の人員を拡充するなどして、審査を加速する必要がある」と述べた。

【総務本部】