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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年7月18日 No.3139 第46回東北地方経済懇談会を開催 -「復興の加速化と競争力の強化により、成長を実現する」テーマに

あいさつする米倉会長

経団連と東北経済連合会(東経連、高橋宏明会長)は9日、仙台市内のホテルで「第46回東北地方経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長はじめ審議員会議長、副会長らが、東経連から高橋会長はじめ会員約280名が参加。「復興の加速化と競争力の強化により、成長を実現する」を基本テーマに活動報告と意見交換を行った。また、懇談会後のパーティーには村井嘉浩宮城県知事、奥山恵美子仙台市長が出席し、参加者と懇談した。

なお、懇談会に先立ち、米倉会長らが復興庁宮城復興局を訪問し、澤田和宏局長らから復興に向けた取り組みを聞くとともに、民間企業からの出向者10名を激励した。その後、一行は荒浜地区にある「東北コットンプロジェクト」の綿花栽培農地、蒲生地区にある「農業生産法人みちさき」の養液栽培ハウスを訪問。これまでの取り組み状況や今後の見通し、事業推進に必要な支援策等について説明を受けた(前号既報)。

開会あいさつで東経連の高橋会長は、復興需要がけん引役となり、アベノミクス効果で企業の業績が改善し消費者心理が好転している今こそ、東北経済の回復を確実なものにしていく必要があるとし、東北の経済界自らが政府の成長戦略を活かし、創意工夫とチャレンジ精神を持って、新たな成長の機会を切り拓いていくと強調。そのうえで、東北が今後持続的な発展を実現していくため、企業の再建と誘致を通じた産業復興と雇用創出をはじめ、東日本大震災からの復興の加速化に全力で取り組むとともに、産学官が連携した持続的なイノベーションの創出や観光産業振興等を通じ、地域産業の競争力強化に戦略的に取り組んでいくとの決意を表明した。

続いてあいさつした経団連の米倉会長はまず、懇談会に先立ち行われた宮城復興局への表敬訪問、綿花栽培(荒浜地区)および養液栽培(蒲生地区)の視察において、関係者が大きな苦難のなかでも新たな挑戦を続けている姿に大いに勇気づけられたと述べ、東経連と積極的に連携し、震災復興の加速に向け一層力を尽くしていくと表明した。また、わが国経済に明るい兆しが見え始めているなか、足元の変化を持続的な経済成長につなげていくためには、経済界の果敢な挑戦が重要と強調。民主導の経済成長の実現に向けて、経団連として引き続き「未来都市モデルプロジェクト」をはじめとする取り組みを強力に推し進めていくとの決意を述べた。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、まず経団連から、(1)成長戦略への期待(小島順彦副会長)(2)科学技術イノベーション政策の推進(川村隆副会長)(3)情報通信技術の利活用(渡文明審議員会議長)(4)道州制の推進(畔柳信雄副会長)(5)産業の国際競争力強化に向けた物流施策(宮原耕治副会長)(6)当面の経済運営(奥正之副会長)(7)持続可能な財政運営の確立(石原邦夫副会長)(8)社会保障制度改革の推進(斎藤勝利副会長)(9)労働政策をめぐる動向(篠田和久副会長)――について、それぞれこれまでの経団連の取り組みや今後の進め方を中心に説明があった。

東経連からは、(1)地域産業の競争力強化に向けた取り組み(大山健太郎副会長)(2)東北のグローバル戦略(鎌田宏副会長)(3)国際リニアコライダー(ILC)の誘致に向けた取り組み(宇部文雄副会長)――について報告があった。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、東経連から、(1)大震災からの復興の加速化に向けた課題(2)経済連携(TPP等)の推進と一次産業の競争力強化(3)今後のエネルギー政策(4)観光産業の成長産業化(5)ILCを核としたイノベーションの推進――について問題提起があった。

これに対して経団連から、(1)農地の大区画化や集積、沿岸部のかさ上げ等、農業、水産業・同加工業といった地場産業の基盤強化に向けた取り組みとともに、将来の地域経済の中核となる産業の形成に向け、戦略的な産業復興政策の策定と電力を含む産業インフラの整備等、地域を挙げて推進する必要がある(坂根正弘副会長)(2)わが国はようやく今月下旬からTPP交渉に参加するが、引き続き経済連携の推進に取り組む(勝俣宣夫副会長)、また、企業を含む経営感覚あふれる担い手の確保や農地集積による経営規模の拡大と生産性の向上に加え、ICTの活用等により6次産業化や農商工連携を通じて収益性の高い農業経営を実現し、魅力ある産業としていくことが必要(三浦惺副会長)(3)電力会社からの原子力発電所の再稼働申請に対し、安全審査が迅速に行われるよう原子力規制委員会の動向を注視するとともに、中長期的には原子力を含む多様なエネルギー源維持の観点に立ち、安全性を大前提に、エネルギーの安全保障、経済性、環境適合性という「S+3E」の適切なバランスの確保を引き続き働きかけていく(佐々木則夫副会長)(4)インセンティブツアー等の付加価値の高い旅行の推進に加え、観光産業を東北の基幹産業の一つに育て上げていくための具体的な行動を自らが行うことが必要(大塚陸毅副会長)(5)ILCの科学的意義に加え、ILCによる国民生活の向上やわが国の産業競争力の強化への貢献といった社会的意義も国民に対して十分に説明し支持を広げながら、他地域にない東北の強みを一層明確にした誘致活動の推進を期待する(大宮英明副会長)――などのコメントがあった。

◇◇◇

懇談会後、米倉会長は東経連の高橋会長と共同で記者会見を行った。会見での米倉会長の発言概要は次のとおり。

■ 震災復興

前回、仙台を訪ねた時に比べ、復興は進んできたと思う。着実な進捗が見られるのは非常によいことだ。本日、復興局の局長から、被災自治体では人手不足が課題になっていると聞いた。今後とも復興庁、自治体からの要請に応え、復興の加速のためできる限りの支援をしていきたい。

■ 農業の競争力強化

経団連では農業の6次産業化を推進しており、未来都市モデルプロジェクトではICTなどを利活用する革新的農業に取り組んでいる。また、同プロジェクトの「沖縄物流ハブ構想」では、沖縄からアジアへ農水産物を直送する取り組みをしている。ICTの利活用による農産物の作付・育成・出荷計画等の管理を通じた生産性の向上や輸出促進策により、魅力のある収益性の高い農業を目指す必要がある。これらにより、若い人たちが農業に従事できる環境をつくることが重要である。

【総務本部】

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