1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2013年8月1日 No.3141
  5. OECD加盟50周年に向けた取り組み聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年8月1日 No.3141 OECD加盟50周年に向けた取り組み聞く -OECD諮問委員会総会

経団連のOECD諮問委員会(斎藤勝利委員長)は7月16日、東京・大手町の経団連会館で2013年度総会を開催した。当日は、事業等に関する報告に先立ち、片上慶一・外務省経済局長から、来年わが国がOECD加盟50周年を迎えるにあたっての政府の取り組み等について聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ 行動するシンクタンクとしてのOECD

1961年に発足したOECDの強みは、分野横断的取り組み、知識・経験の集積に基づく分析、新たな課題の先取りという特色を活かした政策提言力にある。グリアOECD事務総長の言葉を借りれば、世界最大の「行動するシンクタンク」である。64年に加盟したわが国は、OECDにおける議論・成果を活用して、資本移動の自由化、公害対策の実施、租税条約の締結等を進めてきた。

■ 変化するOECDの役割

冷戦終結までは、世界のGDPの約8割をOECD加盟国が占めており、世界経済のルールづくりに大きな役割を果たすとともに、OECD閣僚理事会で先進国サミット直前の意見調整が行われるなど、世界経済の調整の場として機能していた。冷戦後、新興国が台頭、世界経済に占めるOECD加盟国の割合は2015年には6割程度になると予測されており、また、新興国を交えたG20が誕生するなかで、OECDは新たな役割を模索しているのが現状である。

付加価値貿易や税源侵食・利益移転などに関する取り組みに見られるとおり、OECDは最先端の問題について先進国間で協議する場として引き続き機能することになろうが、問題によっては、新興国がOECDルールに加わらないことで、加盟国にデメリットが生じる局面も想定される。今後は政策対話などのアウトリーチ活動を通じ、新興国にも一定のルールを適用していくことが重要になっている。

■ わが国が議長を務める来年のOECD閣僚理事会

OECD加盟50周年を迎えるにあたり、わが国は来年5月にパリで開催されるOECD閣僚理事会で議長を務める。同会合では、東日本大震災への対応でわが国が示したレジリエンス(しなやかさ)に焦点を当てることを通じて、日本経済の再生を強く印象づける機会とするとともに、人的資源の確保や高齢化社会への対応といった課題を取り上げていきたい。また、成長センターであるアジアとの関係強化も重要なテーマと考えている。閣僚理事会に先立ち来年4月には、東京で経済界・労働界との協議を行うとともに、OECD加盟50周年記念シンポジウムの開催を計画している。

【国際経済本部】

「2013年8月1日 No.3141」一覧はこちら