Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年8月29日 No.3143  第4回アジア・ビジネス・サミット開催

アジア地域経済をめぐる重要なテーマで活発な
議論を行ったアジア・ビジネス・サミット

経団連は7月31日、インドのニューデリーにおいて、第4回アジア・ビジネス・サミットを開催した。アジア・ビジネス・サミットは、経団連が提唱し立ち上げたものであり、2010年以降毎年開催している。当日は、アジア9カ国・地域から11の経済団体が参加。経団連からは、米倉弘昌会長をはじめ、川村隆副会長、坂根正弘副会長、中村芳夫副会長・事務総長が参加した。アジア経済界の首脳たちは終日、地域経済統合、金融協力と財政政策、エネルギーと環境、インフラ整備、イノベーション、人口動態の変化など、アジア地域経済をめぐる重要なテーマについて活発な議論を行った。

■ 討議の概要

討議結果の概要は、以下の6点に集約される。

  1. (1)アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の形成に向け、新たな経済連携協定(EPA)交渉、自由貿易協定(FTA)交渉を推進するとともに、既存の協定を強化する。また、物品・サービス貿易の増大、国境を越えた投資の拡大、非関税障壁の撤廃、知的財産権保護の強化などを実現し、地域協力を促進する。

  2. (2)企業規模にかかわらず、資金を必要とする企業がタイムリーにアクセスできるような市場をアジア域内に構築するため協力を加速する。その一環として、信用保証・投資ファシリティー(CGIF)の一層の活用と、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)の推進を求める。

  3. (3)省エネルギー、環境負荷の低い都市開発、再生可能エネルギー、原子力エネルギー、化石燃料の効率的利用など、環境に優しい技術、製品、サービスの開発・普及に共同で取り組み、それらを活用するための体制を強化する。2020年からの発効が目指されている温暖化対策の国際枠組みについて、すべての主要排出国が責任をもって参画する公平かつ効果的な国際枠組みの構築に協力する。

  4. (4)地域のインフラ開発を加速するため、政府調達制度の改善と、インフラ関連のPPP(官民パートナーシップ)を促進する法整備を求める。特に、環境負荷や耐久性などの非価格要素をより効果的に評価する入札制度の整備を求める。

  5. (5)さまざまな業種でイノベーションを促進するため、アジアの各エコノミー間で高度人材の交流やアジアの機関による共同研究開発を奨励する。アジアの各エコノミー間でのシームレスな技術移転や製品流通を促進するため、地域内の規格の統一化と調和を求める。

  6. (6)人口動態の変化による社会保障費の増大や若年者雇用問題などの負の影響を最小化するため、教育訓練を通じた人的資本の強化、経済成長を加速する新技術の導入、イノベーションの促進に向け、効果的な手段を取る。医療サービスに関する規制改革を行い、医療従事者・介護従事者の国境を越える移動制限を取り除き、ヘルスケアセクターにおける人材の需給バランスを解決することを求める。

米倉会長(左)とキルロスカ・インド工業連盟イノベーション委員会委員長

■ 共同声明を採択

会議の最後には、討議の内容に沿って取りまとめられた共同声明が全会一致で採択された。共同声明はホームページ(http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/074.html)に掲載。

参加した経済団体は、共同声明に基づき、各エコノミーの当局に提言・働きかけを行うこととしている。経団連としても、アジア・ビジネス・サミットの提唱団体として、引き続き積極的に携わっていくとともに、自ら率先して、共同声明に基づいた活動を展開していく。

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次回のサミットは、比日経済委員会(PHILJEC)がホストとなり、来年のしかるべき時期にフィリピンで開催される予定である。

【国際協力本部】