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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年9月26日 No.3147 介護保険制度の現状と検討課題について聞く -社会保障委員会医療改革部会

経団連は10日、東京・大手町の経団連会館で社会保障委員会医療改革部会(森千年部会長)を開催し、厚生労働省老健局の高橋俊之総務課長から、介護保険制度をめぐる現状と改革に向けた検討の方向性について、説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

社会保障制度改革国民会議の報告を踏まえた「法制上の措置」の骨子を受けて、社会保障審議会介護保険部会では、介護保険制度の充実と重点化・効率化について、具体的な検討を行っているところであり、検討結果を介護保険法の改正法案として次期通常国会に提出する予定である。

要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らし続けられる社会を目指し、2025年を目途とした地域包括ケアシステムの構築に向けた施策を推進する。主な検討事項としては、在宅医療と介護の連携推進にかかる事業を介護保険法のなかで制度化し、市町村が行う地域支援事業として位置づけるほか、認知症になっても地域で住み続けることができるよう、初期の段階での集中的な支援を行う体制の整備等を進める。

また、2015~17年度の第6期介護保険事業計画から、25年までのサービス・給付・保険料の水準の推計も市町村が行うこととする。

また、要支援者への予防給付を、市町村が実施する要支援事業として、地域支援事業に移行することも検討する。現在の給付の方式では、サービスの種類・内容・運営基準・単価を全国一律で国が決めているが、各市町村が地域の実情に応じて、ボランティア等も含め多様な主体を活用して、サービスを効率的に提供できるようになる。市町村の裁量は拡大するものの、要支援認定を受けた人に対象を限定するなど、ある程度の枠組みは設ける。事業の財源は、従来の介護予防給付や介護予防事業と同様に、現役世代の保険料を含んだものとするが、医療と介護の連携や認知症対策といった包括的支援事業に位置づけられるものについては、今後も財源に現役世代の保険料は含めない方針で検討している。

このほか、公平性の観点から費用負担に関する見直しを行う。まず、一定以上の所得を有する人の利用者負担割合を現行の1割から2割に引き上げることを検討する。「一定以上の所得水準」については、モデル年金や平均的な消費支出額を超えている必要があると考えている。

補足給付(低所得の施設利用者に対する食費・居住費の負担軽減措置)については、支給の要件に資産を勘案することを検討する。金融資産の把握は難しく、当分は通帳の写しを添付して自己申告してもらう方式となるが、一定のチェックや不適正申告の場合のペナルティーを検討する。

<意見交換>

出席者からの「地域支援事業について、実施体制が十分でない市町村が多いのではないか」との質問について、高橋総務課長から、「既存の介護事業者の活用もできるし、国民健康保険団体連合会が行っている介護給付費の審査支払事務の委託のような仕組みを設けるなどして、円滑に移行できるようにする」との回答があった。

また、「今後、アベノミクスやオリンピックの効果によって景気が良くなれば、賃金の低い介護従事者の確保はますます困難になるのではないか」との質問に対しては、「賃金の問題だけでなく、労働環境やマネジメントの改善、キャリアパスの確立も求められる。介護ロボットの普及による身体的負担の軽減など、さまざまな取り組みが必要である」と答えた。

【経済政策本部】

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