Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月3日 No.3148  オライリーBIAC会長と懇談 -BIACを通じてグローバル・ガバナンスに貢献を/OECD諮問委員会

オライリーBIAC会長

経団連のOECD諮問委員会(斎藤勝利委員長)は9月25日、フィル・オライリーOECD経済産業諮問委員会(BIAC)会長を迎え、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。同会長の発言概要は次のとおり。

■ BIACの役割

BIACは経済界の利害にかかるOECDの検討事項の諮問を最初に受ける立場にある。この優位性を活かし、企業・団体からBIACに参加する多くの専門家の知見に基づく見解を効果的に発信することが重要である。最近はG20・B20を通じグローバル課題の議論に関与している。根拠に基づく質の高い議論が行われるよう努めている。

国際機関や各国政府は、現状を改善するための具体的かつ実践的なアイデアを経済界に求めている。BIACとしては、これに建設的かつ前向きに応えることが重要である。

■ OECD・BIACが取り組む政策課題

OECD・BIACは以下の政策課題に取り組んでいる。BIACを通じ経済界も積極的に関与し、グローバル・ガバナンスに貢献していく必要がある。

  1. (1)若年者雇用
    G20・B20においては、贈収賄防止のほか、雇用、国際租税の問題に関与している。若年者雇用の改善についてBIACは、国際使用者連盟(IOE)と連携し、経済界の自主的な取り組みとして、若年者の技能向上に資する各国の制度・慣行にかかる情報の共有等を進めつつある。

  2. (2)税源侵食・利益移転
    OECDは、G20の要請を受け、税源侵食・利益移転(BEPS)の問題を検討している。BIACは、企業間の競争が歪められないよう、また、各国の税制の違いを考慮しない一律の規制が導入されないよう働きかける必要がある。

  3. (3)付加価値貿易統計
    OECDが整備に取り組んでいる付加価値貿易統計(TiVA)は、あらゆる国が貿易から裨益することを示している。TiVAを例えばTPP推進の根拠として活用することは有益であろう。

  4. (4)経済的課題に対する新たなアプローチ
    OECDの経済的課題に対する新たなアプローチは、世界金融危機を予測できなかった反省から、危機を繰り返さないために何をすべきかとの問題意識から始まったプロジェクトである。BIACは、政府による規制の強化や国・地域一律の対応とならないよう働きかけていく必要がある。

【国際経済本部】