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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月10日 No.3149 「当面の地球温暖化政策に関する考え方」公表 -2020年目標はエネルギー政策が固まった段階で決定・表明すべき

今年1月の安倍首相の指示を受け、日本政府は、第19回気候変動枠組条約締約国会議(COP19)までに「25%削減目標をゼロベースで見直すとともに、技術で世界に貢献する攻めの地球温暖化外交戦略」を策定すべく検討を進めている。また、政府の審議会では、2012年度をもって終了した京都議定書目標達成計画に続く「地球温暖化対策計画」に関する検討作業が行われている。こうした状況を踏まえ、経団連は当面の地球温暖化政策に関する意見を取りまとめ4日に公表した。概要は次のとおり。

■ 温暖化対策の重要性

経団連では、1997年から「環境自主行動計画」のもと国内のCO2削減を進め、今年4月からは同計画をさらに進化させた「低炭素社会実行計画」を社会へのコミットメントとして推進している。

わが国は京都議定書第二約束期間には参加しないが、環境と経済の両立を図りつつ、温暖化対策に積極的に取り組む必要がある。国として何らかの目標や計画を掲げ、PDCAサイクルを回しながら、対策を着実に進めることが重要である。

■ 2020年目標に関する基本的な考え方

エネルギー政策と温暖化政策とは表裏一体の関係にある。経済を成長させながら温暖化対策に取り組む観点から、まず国としての成長戦略を確立し、次に同戦略を実現するために必要なエネルギー政策やエネルギー基本計画を策定し、目指すべき2020年のエネルギーミックスを固めたうえで、温室効果ガスにかかる2020年目標を決定する必要がある。

わが国は、6月に策定された日本再興戦略や東日本大震災を踏まえ、今後のエネルギー政策やエネルギー基本計画に関する議論が行われている。また、原子力発電に関しては、7月に施行された新基準に基づく審査が始まった段階であり、現時点で将来の稼働状況を見通すことは困難である。

このようにエネルギーミックスの年内の策定が難しいなか、11月のCOP19までに国として責任あるかたちで2020年目標を決定・表明することはできない。また、将来に対する不確定要素が多いことを理由に、幅のある数値を安易に示すことは、国内外の信頼を損ないかねず、適切ではない。わが国の2020年目標は、来年以降、エネルギーミックスが具体的に固まった段階で決定すべきである。

その際、実現可能性、国民負担の妥当性、国際的公平性の3条件を当然満たすとともに、産業・運輸・民生などセクター別に国内の削減ポテンシャルを積み上げ、「真水」で設定すべきである。

■ 今後の気候変動交渉に向けて

日本政府は、引き続き地球規模で温暖化対策を積極的に推進する姿勢を国際社会に示す必要がある。そこで、経団連の「低炭素社会実行計画」や、「攻めの地球温暖化外交戦略への提言」(今年7月16日公表)等を踏まえ、(1)国内対策の強化(2)国際貢献の推進(3)革新的技術の開発――という3本柱を中心に「地球温暖化対策計画」における具体的施策を策定すべきである。

なお、イノベーションの阻害要因となる地球温暖化対策税や再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、早急かつ抜本的に見直すべきである。

【環境本部】

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