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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月7日 No.3153 第40回北陸地方経済懇談会を富山で開催 -「北陸の地域産業の競争力強化により、持続的な成長の実現をめざす」

あいさつする米倉会長

経団連(米倉弘昌会長)と北陸経済連合会(北経連、永原功会長)は10月31日、富山市内のホテルで「第40回北陸地方経済懇談会」を開催した。経団連から米倉会長はじめ審議員会議長、副会長らが、北経連からは永原会長はじめ会員約120名が参加し、「北陸の地域産業の競争力強化により、持続的な成長の実現をめざす」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで北経連の永原会長は、北陸経済について、「会員向けの景気動向に関するアンケートで、7割以上の企業が『すでに回復』『回復基調』と回答しており、アベノミクスの効果が国内経済に浸透してきたと考えられる」と述べた。そのうえで、「今後も景気拡大が持続するには、成長戦略の着実な実施や法人税率の引き下げなどが重要」との認識を示した。

北陸新幹線については、「現在、2015年春の金沢開業に向けた準備を進めている。今後、金沢-敦賀間の早期開業を求めるとともに、大阪までのフル規格での全線整備に向け、引き続き取り組みを進める」と述べた。また、エネルギー政策について、「持続的な経済成長を遂げるためにも、原子力発電所の安全早期運転再開が必要」との認識を示した。

続いてあいさつした経団連の米倉会長はまず、経済状況について、GDP成長率や雇用者数、有効求人倍率の改善を踏まえ、「わが国経済が本格的な回復の兆しをみせている」と述べた。そのうえで、安倍首相の消費税8%への引き上げ表明について、「社会保障制度の安定やわが国財政への国際的な信認の確保のために必要不可欠であり、高く評価する。また、あわせて実施する大胆な投資減税などの5兆円規模の経済対策や、法人実効税率引き下げの第一歩として復興特別法人税の前倒し廃止の方向性が打ち出されたことを大変心強く感じる」と述べた。また、「TPP(環太平洋経済連携協定)、日中韓自由貿易協定(FTA)、アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日EU経済連携協定(EPA)などの経済連携が実現すれば、日本に新たな成長のチャンスが生まれる」として、期待感を示した。

さらに、先般発表した政策評価にあるように、「安倍政権が日本の再生に向けて思いきった政策を推進していることを高く評価している。経済界としても、業績の改善が投資の拡大と雇用の創出、賃金の引き上げにつながる『経済の好循環』をつくり出したい」と述べた。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、まず経団連側から、(1)温室効果ガス削減に向けて(坂根正弘副会長)(2)経済連携(TPP等)の推進(勝俣宣夫副会長)(3)労働法制をめぐる動向(三浦惺副会長)(4)採用選考に関する指針および手引き(篠田和久副会長)――について、取り組み状況をそれぞれ報告した。

一方、北経連側からは、(1)代替補完機能を担うための社会インフラ整備(犬島伸一郎副会長)(2)産学官連携によるイノベーションの創出と企業間連携の支援(深山彬副会長)――について報告があった。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、北経連から、(1)国土強靭化の実現(2)デフレ脱却と成長戦略(3)エネルギー政策の推進(4)広域観光推進による産業の活性化(5)アジア諸国との経済交流――の5点について問題提起があった。

これに対して経団連からは、(1)北陸新幹線をはじめとする北陸地域でのインフラ整備は、巨大地震等による太平洋側の被災リスクに備え、日本海側の輸送・物流等のバックアップ機能を充実させる観点から重要(渡文明審議員会議長)(2)アベノミクスや2020年オリンピック・パラリンピックの東京招致等により、経済指標が改善し、今後も緩やかな成長が見込まれる。今後、日本再興戦略や、経済連携の推進、法人実効税率の引き下げ等を着実に実施すべき(奥正之副会長)(3)短期的には、原子力発電所の再稼働プロセスを可能な限り加速化することが重要。中長期的には、成長戦略との整合性を確保し、あらゆるエネルギー源を効果的に活用すべき(佐々木則夫副会長)(4)北陸新幹線の開業にあわせ、北陸地方で一体となって観光資源等をアピールするとともに、需要創出や生産性の向上を通じて、観光関連産業を成長産業化することが重要(畔柳信雄副会長)(5)ASEAN諸国、インド、中国等のアジアは世界の成長センターであり、今後も積極的に経済交流や政策対話を実施する(川村隆副会長)――とコメントがあった。

米倉会長と北経連の永原会長が共同で記者会見

懇談会終了後、米倉会長と北経連の永原会長が共同で記者会見を行った。会見での米倉会長の発言要旨は次のとおり。

■ 北陸新幹線

北陸新幹線の開通により、幅広い人的交流の拡大と経済効果が期待できる。石川、富山ともに20~30%程度、流入人口が増えると推計されている。また、石川県で81億円、富山県で84億円の県内消費の増加が予想されるなど、ビジネス、観光の両面で経済効果は高い。敦賀まで新幹線が延伸された場合には、北陸全域で人的交流が年間460万人拡大、800億円の経済波及効果が見込まれる。北陸から東京と大阪まで移動する時間が短縮すれば、北陸への投資も増え、活力ある地域づくりも進展するだろう。

■ 北陸の魅力

五箇山の合掌づくりに代表されるように、自然と食、歴史、生活文化が体験できるのが北陸ならではの強みである。その認知度を高める取り組みはすでに始まっているが、今後も三県が連携して、観光振興に取り組んでいくことが重要である。北陸の今後の取り組みに期待している。

【総務本部】

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