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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年1月1日 No.3160 女性活躍への期待を聞く -アメージャン一橋大学大学院教授から/企業行動委員会女性の活躍推進部会

講演するアメージャン教授

経団連の企業行動委員会女性の活躍推進部会(中川順子部会長)は12月12日、東京・大手町の経団連会館で第4回会合を開催し、クリスティーナ・アメージャン一橋大学大学院商学研究科教授から女性の活躍に関する日本の現状とこれからの課題を聞くとともに、委員間での意見交換を行った。アメージャン教授の講演の概要は次のとおり。

■ アメリカからみた日本の女性活躍の現状

私はアメリカの大学を卒業後、2年間日本で勤務した。その後、再びアメリカで大学院に入学し、在学中に出産を経験した。アメリカでは子育て支援制度が充実しておらず、各自の判断に委ねられる部分が大きい。このため、私自身も経済的状況を考慮しつつ、育児と学業の両立のための方策を模索した。

こうした経験と比較すると、日本は育児のための施設サービス、人事制度等は非常に充実しているし、企業の経営層も女性活躍について真摯に検討していると思う。むしろ、女性が活躍するための最大の障害は、制度ではなく仕事の中身そのものではないか。日本の企業において、文書作成や会合等に多大な時間が割かれ、また、仕事に対する評価基準があいまいであることなどは、恒常的な長時間勤務の原因となっている。さらに頻繁な部署の異動は職務の専門性の醸成を阻害する要因となる。あわせて、若い社員に対して、将来性の有無にかかわらず、量・質ともに一様に仕事を配分する慣行は、かえってモチベーションの低下につながるおそれがある。これらを日本人に指摘しても、なかなか理解してもらえない。

また、根本的な問題として、日本人女性のキャリア意識について指摘したい。アメリカでは、経済的な理由から、仕事を辞めて専業主婦になるという選択肢はほとんどなく、働き続けることは普通である。一方、日本では、依然として、結婚後は仕事を辞めて専業主婦になる願望を持つ女性も多く、就業を継続する意識が強いとはいえない。この意識が日本における女性の活躍を妨げていると思う。

■ 女性の活躍へ向けた今後の課題

まず、企業は仕事の中身を変革していくべきである。文書作成や会議等に時間を割くことをやめ、評価制度をパフォーマンスに基づき明確化することが重要である。その際、外資系企業の先進事例が大いに参考となるだろう。次に、就業前から女性のキャリア意識を醸成するために、インターンシップ等に企業が積極的に取り組むことが求められる。加えて、上司が女性の部下に対して、仕事の魅力が伝わるようにコミュニケーションを図ることも有効である。

また、日本では、世代の違いもあり、若い女性にとって模範となるロールモデルをみつけることは困難である。そこで、同世代の女性で身近な課題を共有し解決するためのネットワーク構築が必要となる。

これらを実現するためには、管理職などの男性の理解を促進するとともに、若い女性社員への効果的な動機づけ、コミュニケーションのあり方を検討すべきである。今後は、人口の半分を占める女性の頭脳や活力を十分に発揮させることが求められている。女性の活躍の実現によって、国際社会の日本に対するイメージは、さらに向上しよう。

◇◇◇

講演後、委員が少人数のグループに分かれ、女性のキャリアアップを促進するうえでの意識面やキャリア形成面での課題について、活発な意見交換を行った。

【政治社会本部】

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