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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年1月30日 No.3163 在ロシア日本センター所長との懇談会開催 -各地の経済情勢と日本企業への期待など

経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は16日、東京・大手町の経団連会館で、日本政府が日ロ経済交流促進を目的として、ロシア国内に設置する日本センターの各所長との懇談会を開催し、任地の経済情勢の現状と展望につき説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ モスクワ

黒坂昭一所長は、ロシア経済は低成長時代を迎え、資源依存からの脱却と経済近代化、極東地域を含む地方開発、経済交流の欧州からアジア太平洋への移行などの構造改革が必要と指摘。ソチ五輪など国際的な行事を梃子に、地方政府は投資環境の整備に取り組むなか、自動車部品企業が進出するなどの動きがあり、今後は、食品や不動産などの新分野も有望とした。

■ サンクトペテルブルク

松原斉所長は、人口500万人のサンクトペテルブルクには、自動車・同部品、タバコ、変圧器、鉄鋼、外食産業など多様な日本企業が進出しており、生産基地としての地位が高まっているとした。また、市当局は、2030年までの社会経済発展戦略を策定中であり、日本企業が得意とする医療・製薬、自動車、省エネなどの経済分野が柱となることから、今後の展開に期待を示した。

■ ニジニーノヴゴロド

濱野道博所長は、沿ヴォルガ連邦管区はロシア経済の中心の一つであり、引き続き石油などの資源エネルギー、ロケット製造などの軍需産業が発展を牽引するとの見方を示した。日本企業も徐々に進出しており、今後は、日ロ通訳不足の解消や若手エンジニアの確保が課題とした。ヴォルガ川への架橋やモスクワ―カザン新幹線の建設などインフラ整備は遅れており、連邦・地方政府がともに資金難にあるため、透明性の高いPFI(注)活用の可能性を指摘した。

(注)PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)=公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法

■ ハバロフスク

山本博志所長は、昨年のアムール川大洪水の被害は深刻で、次期農作物の収穫が懸念されるなど、完全に収束していないと指摘。そうしたなか、極東連邦管区大統領全権代表と極東発展大臣が交代したことから、今後は、極東の人材を活用しながら各種インフラ整備プロジェクトをいかに推進していくかが注目されるとした。二国間貿易では、円安傾向から高品質な日本製品の価格競争力が強まっており、需要の拡大が期待されると述べた。

■ ウラジオストク

大石莊平所長は、ロシアはアジア・太平洋地域との経済関係を日中韓を中心に構築し、欧州経済への依存を分散化しようとしていると指摘。極東連邦管区大統領全権代表と極東発展大臣の新体制を踏まえ、近々公表される「2025年までの極東およびバイカル地域の社会経済発展プログラム」の修正計画で、各種優遇策や特別経済区制度などが決定されるだろうと述べた。
今後の極東・東シベリア地域の成長については、LNGや石油・ガス化学、石油精製など資源エネルギー分野が牽引するなか、周辺地域をつなぐ物流ルートの整備が重要と強調した。

■ サハリン

鹿子畑陽一所長は、サハリンの経済構造は資源エネルギー分野が引き続き主要な地位を占めるとの見通しを示した。課題として、豊富な水産物の加工工場の建設や温室栽培を含む農業の振興を挙げた。
今後は、サハリンプロジェクトからの税収を活用し、州政府が下水道や、冷蔵・冷凍倉庫を含む物流・港湾などの社会インフラ整備を推進していく可能性を指摘した。州政府は、日本企業による投資の誘致に熱心で、経済交流の多様化に期待が高まっているとした。

説明する在日本ロシアセンター所長の各氏

【国際経済本部】

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