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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月6日 No.3164 講演「今次労使交渉に臨む方針」 -経団連労使フォーラム

経団連事業サービス(米倉弘昌会長)は1月27、28の両日、第117回経団連労使フォーラムを開催した(前号既報)。2日目には企業労務担当役員、産別労組リーダーの講演「今次労使交渉に臨む方針」が行われた。概要は次のとおり。

企業労務担当役員

和田氏

和田慶宏・旭化成取締役上席執行役員

旭化成の和田氏は、今次交渉における近年にない特徴として、(1)政府が企業に対し賃上げを要請してきたこと(2)業界内で企業業績が大きく異なる点――を挙げた。今次交渉に際し業績向上分は基本的には賞与での配分(業績連動型賞与制度をすでに導入)を考えていると述べ、現下の業績だけでなく将来の経営状況などを勘案したうえで慎重に今後の対応を検討するとした。

大隅氏

大隈信幸・三菱電機取締役常務執行役人事部長

三菱電機の大隈氏は、電機業界を取り巻く状況について、新興国市場が伸び悩み、売上高・営業利益ともリーマンショック前の水準には戻らず、本格的回復には至っていないと指摘。こうしたなか、今次交渉がここ数年では経営側にとって一番難しい交渉になるとの見通しを示した。そのうえで、企業業績の反映は基本的には賞与で行いたいとの考えを示し会社の業績や世間の動向等を勘案し総合的に検討したいと述べた。

進藤氏

進藤孝生・新日鐵住金代表取締役副社長

新日鐵住金の進藤氏は、鉄鋼業界には世界的な独占・寡占企業がなく、今後新興国を中心に鉄鋼需要の増加が見込まれるなか、熾烈な国際競争が続くと予測。そのうえで今次交渉では、賃上げによる経済の好循環実現という政府の考え方には賛同するが、個別企業においては各々の経営環境や収益状況などに応じた判断が必要になると述べた。また、従業員への収益還元は業績連動型賞与を基本に行う方針であると述べるとともに、固定的・構造的なコスト増につながらないかなど、さまざまな観点から慎重に施策を検討するとの考えを示した。

産別労組リーダー

相原氏

相原康伸・自動車総連会長

自動車総連の相原氏は、今次交渉に向けた取り組み方針として「全員で、月例賃金で、底上げに取り組む」との基本的考え方のもと、賃金カーブ維持分確保を大前提に、実質生活の維持・向上、生産性向上への成果配分、賃金実態を踏まえた格差・体系の是正等を重視する考えを示した。賃金改善分について明確な額で各単組が主体的に設定し要求するとの方針を説明したうえで、月例賃金の底上げを求める根拠として、日本の雇用者報酬や組合員の世帯当たり平均年間総収入額の推移等を引用。さらに非正規労働者と中小企業への取り組みの重要性を指摘。今年は例年以上に重要な交渉になると述べた。

澤田氏

澤田和男・基幹労連中央執行委員長代行

基幹労連の澤田氏は、今次交渉では、全組織が底上げにつながる賃金改善の追求にこだわること、具体的には産別一体となって、2年分の賃金改善要求(2014年度、15年度とも3500円の同額要求)を行う方針で、この要求水準は確実に要求額を獲得する現実的なものであると述べた。また、今次交渉を近年の延長線上の交渉とする認識では、現下のわが国の課題であるデフレ脱却には至らず、経済成長を達成できないと強調した。

逢見氏

逢見直人・UAゼンセン会長

逢見氏は、UAゼンセンが製造業、流通小売業、サービス業の中小企業や非正規労働者が多く加盟する組合であることから、今次交渉では、(1)賃金水準(実態)の把握(2)賃金制度の確立・整備(3)賃金体系維持原資の確認と報告(4)企業内最低賃金の協定化――の四つに取り組むとした。具体的な統一要求基準としては、賃金体系(カーブ)維持分を確保したうえで、一人平均賃上げ(ベースアップ)1%または2500円以上を掲げた。また、非正規労働者の処遇格差是正に積極的に取り組む方針を示した。

【経団連事業サービス】

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