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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月13日 No.3165 欧州の理工系人材育成の政策やプログラム等聞く -科学技術振興機構研究開発戦略センターの永野特任フェローから/産業技術委員会産学官連携推進部会

経団連の産業技術委員会産学官連携推進部会(永里善彦部会長)は1月27日、東京・大手町の経団連会館で、科学技術振興機構研究開発戦略センターの永野博特任フェローから、欧州の理工系人材育成の政策やプログラム等について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

1.EU

EUでは、EU全体で実施する枠組みプログラムを7年ごとに策定している。今年1月からは、「Horizon2020」と称するプログラムが新規に開始された。EUが新設した欧州研究会議では、これまで若手研究者を対象とする資金援助によりノーベル賞受賞者も輩出。今回の「2020」プログラムでは、博士号を取って間もない若手に対するさらなる支援の強化を図っている。そのほか、産学共同研究を行う研究者を支援することで人材育成を図るプログラムも実施している。

2.ドイツ

ドイツでは、イノベーションのための包括的な戦略であるハイテク戦略を2010年に更新し、「ハイテク戦略2020」として公表している。同戦略では、「理数系教科支援プログラム」と称する、数学・情報工学・自然科学・技術に関する科目に子どものころから親しませる取り組みを行っており、特に、同分野への女性の就業促進にも力を入れている。若手研究者支援ならびに頭脳流出対策を目標としたプログラムも用意している。さらに、大学から産業界への知識移転で世界的に有名なフラウンホーファー応用研究促進協会においては、学生の多くが産業界で職を得ることを踏まえた人材育成を図っている。

3.フランス

フランスでは、博士人材の活用に向けた取り組みが特徴的である。頭脳流出問題への対策として在外ポストドクター(博士研究員)呼び戻し奨励策を講じているほか、企業での研究活動に基づいて博士号を取得する取り組みを支援すべく、企業に補助金や研究費税額控除等も行う仕組みを講じている。

4.英国

英国では、02年にロバーツ卿の取りまとめた提言以来、研究人材育成に関し、産業界のニーズに合わせたスキルを身につけることを重視した政策に努めている。例えば、学生が大学と企業の双方の指導者のもとで研究を行って博士号を取得する仕組みに関し、国のファンディング機関である研究会議が奨学金を提供する制度が有名である。

<意見交換>

意見交換においては、欧州における大学教授の地位に対する評価に関する質問が出され、永野氏からは、「欧州では、日本のように大学での経験しか持たない教授は少なく、大学・産業界を問わず博士号取得者が尊敬されており、多様な場所で活躍している」との回答があった。

◇◇◇

経団連では、今後とも理工系人材育成に関する議論を深めていく。

【産業技術本部】

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