経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会(山内隆司委員長)を開催した。経済産業省資源エネルギー庁の住田孝之資源・燃料部長から、資源・燃料政策をめぐる最近の状況と海洋エネルギー・鉱物資源開発について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 資源・燃料政策をめぐる最近の状況
経済産業省では新しいエネルギー基本計画を策定中であり、今後の資源・燃料政策について現在議論を行っている。
わが国の資源・燃料政策上の三つの課題として、(1)海外からのエネルギー資源供給の不確実性(2)災害時等の供給体制の脆弱性(3)エネルギー供給を担う企業の経営基盤の弱体化――がある。
第一の課題については、エネルギーセキュリティーを確保するため、まずは適切な分散を実現することを目指す。具体的には、主要な調達燃料を多様化し、1次エネルギー供給において安価な石炭の割合を増加させ、石油や天然ガスの価格を低減させることが必要である。また、地政学的なリスクを考慮し、例えば石油の調達先を中東以外にも分散していく。
次に、調達のリスクを低下させるため、安倍総理や閣僚による資源外交を積極的に展開、産油国等との関係を強化する。加えて、石油やLPガスの備蓄を推進していく。
さらに、資源・燃料の価格の低廉化が求められる。原油、天然ガスなどの価格は上昇傾向にあり、アジアや欧米の消費国の事業者との連携を強化し、共同で調達することなどで、わが国のバーゲニングパワーを強化する必要がある。
■ 海洋エネルギー・鉱物資源開発
燃料リスクの低下を図るためには、国内資源としての海洋資源の開発が求められる。昨年4月に新たな海洋基本計画が閣議決定されたことを受け、経済産業省は12月に「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を改定した。同計画では、海洋エネルギー・鉱物資源の開発の目標等を記載している。
まず、メタンハイドレートについては、昨年3月に渥美半島と志摩半島の沖合で実施された海洋産出試験を踏まえ、生産コストの引き下げや安定的なガス生産のために必要な技術開発を行い、平成30年度までに商業化の実現に必要な技術を確立する。日本海側では、今年度から3年程度かけてメタンハイドレートの広域調査を実施する。
石油・天然ガスについては、毎年6千平方キロメートルの基礎物理探査を実施し、成果を民間企業に引き継ぐ。海底熱水鉱床については、平成30年代後半に民間企業が参画する商業化を目指したプロジェクトが開始されるよう、技術開発を推進する。
レアアースについては、今年度から3年程度で資源量や賦存状況を調査し、資源ポテンシャルの総合評価を行ったうえで、今後の計画を検討する。
<意見交換>
意見交換では、同委員会総合部会の山脇康部会長が、「開発計画を着実に進めるとともに、できるだけ目標の前倒しをしてほしい」と述べたのに対し、住田氏は、「早めの目標を設定しても達成できなくなるという意見もあり、今回の計画では全体を踏まえて目標を定めた」と述べた。
【産業技術本部】